新年のごあいさつ
最終更新日:2019年1月10日
新年のごあいさつ
2019年1月
独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 佐藤 一雄
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
alicの業務につきまして、旧年中は皆さまのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年は、夏期の西日本を中心とした集中豪雨、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震、秋に日本列島を縦断した台風21号、24号など、災害が多かった年でもありました。これらにより、多くの方が被災されたほか、農作物、家畜、農畜産業関連施設にも多大な被害が発生しました。被害に遭われた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
alicは、昨年4月から、第4期目となる向こう5年間の中期目標期間に入りました。今次の中期目標期間においても、これまでに培ったノウハウ等を活かしつつ、alicに与えられた使命を確実に果たしていきたいと考えております。
さて、わが国の農林水産業をめぐっては、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」が昨年12月30日に発効となりました。
これに伴い、砂糖関係では、協定の発効日と同日に施行された改正糖価調整法に基づき、輸入される加糖調製品が砂糖の価格調整制度の対象に追加されました。徴収された調整金は、国内で生産される砂糖の競争力を強化するため、国内産糖などへの支援に充当されます。
alicでは、新たに追加された輸入加糖調製品の買入れ及び売戻し業務を円滑に実施できるよう、関係者への周知、内部での手続の整備やシステムの改修などを進めてきましたが、今後も、糖価調整制度の安定的な運営を図るため、業務の的確な遂行に努めてまいります。
一方、日EU経済連携協定(EPA)承認案についても、12月の国会で審議され可決されました。同協定が発効すれば、alicが担う業務を取り巻く環境がさらに変化することとなります。
国内生産に目を向けますと、平成30年産の北海道のてん菜については、初期生育は順調に推移したものの、6月中旬以降の天候不順の影響で、全体としては平年並みの生産量が見込まれています。一方、鹿児島県、沖縄県のサトウキビについては、作付面積の減少に加え梅雨の降水量が少なく各地で干ばつが発生し、さらに台風の襲来により一部地域で被害がみられるものの、生産量は昨年並みの水準が見込まれています。
また、平成30年産の北海道のでん粉原料用ばれいしょについては、作付面積は前年並みとなったものの、6月から7月上旬の長雨・低温によって生産量が減少したことから、ばれいしょでん粉の生産量は昨年を下回ると見込まれております。南九州のでん粉原料用かんしょについては、作付面積の減少に加え、芋が腐る症状の病気が広範囲で発生しているため生産量が前年を下回っており、かんしょでん粉生産量も過去最低の昨年をさらに下回ると見込まれています。
近年、これまでの経験では予測ができないような時期や規模の気象災害が生産に大きく影響を与えています。また、生産者の高齢化に伴う労働力不足の問題も顕在化する中、わが国の甘味資源作物およびでん粉原料用いもの生産基盤が活力ある成長・発展となるよう支援するため、alicでは、交付金交付業務を着実に実施していくとともに、安定生産に資する技術革新や農業政策、生産現場での取り組みに関する情報を本誌およびホームページを通じて皆様に発信してまいります。
また、海外情報の分野では、農畜産物の関係国における需給・価格や輸出余力、わが国の輸出可能性や輸出促進に関する先進事例などについて情報収集、整理・分析を行い、関係者にタイムリーに提供することを通じ、わが国の農畜産業を支援していくこととしています。
alicではこれからも、生きていく上でなくてはならない大切な「食」を支えていくために、農畜産業・関連産業に携わる方々を応援し、消費者の皆さまに農畜産物が安定的に届けられるよう努めてまいりますので、引き続きご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますことをご祈念申し上げて、新年のごあいさつといたします。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272