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新型コロナウイルス感染症関連の情報

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最終更新日:2021年8月10日

新型コロナウイルス感染症関連の情報

2021年8月

調査情報部


 調査情報部では世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各国政府の対応など需給に影響を与えるタイムリーな情報を、海外情報としてホームページの以下のURLに随時掲載しております。 (掲載URL:https://www.alic.go.jp/topics/index_abr_2021.html)  

 ここでは、7月13日までに掲載したものをまとめて紹介いたします。

目次

・【南米】
(令和3年6月23日付)サトウキビなどの2020/21年度生産実績、2021/22年度生産見通しを公表 (ブラジル)

・【欧州】
(令和3年7月13日付)欧州清涼飲料水協会、糖類添加量の新たな削減目標を発表(EU)

【南米】

(令和3年6月23日付)サトウキビなどの2020/21年度生産実績、2021/22年度生産見通しを公表(ブラジル)

2020/21年度の砂糖生産量および輸出量は大幅に増加

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月18日、2020/21年度(4月〜翌3月)第4回サトウキビ生産状況等調査結果報告を公表した。同調査は、同年度におけるサトウキビ、砂糖およびエタノールの生産予測を年4回公表するものであり、今回が最終報告となる。  

 これによると、サトウキビの収穫面積は862万ヘクタール(前年度比2.1%増)とわずかに増加した(図1)。このうち、中南部の収穫面積は772万ヘクタール(同2.2%増)、北東部は同90万ヘクタール(同0.6%増)であった。  

 サトウキビ生産量は、収穫面積の増加により6億5453万トン(同1.8%増)とわずかに増加した。1ヘクタール当たりの収量は、2020年4〜10月にかけての乾燥気候の影響を受けて76.0トン(同0.2%減)とわずかに減少した。  

 サトウキビを原料とする砂糖、エタノールの生産状況を見ると、砂糖生産量は4125万トン(同38.5%増)と大幅に増加したのに対し、サトウキビ由来のエタノール生産量は2975万キロリットル(同12.5%減)とかなり大きく減少した(図2、3)。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による国内のエタノール需要の落ち込みや、世界有数の砂糖輸出国であるタイでの不作を背景とした国際砂糖価格の上昇から、製糖企業がサトウキビの砂糖への仕向け割合を増加させたことによる。なお、エタノール生産量のうち、無水エタノールは932万キロリットル(同7.9%減)とかなりの程度減少し、含水エタノールは2042万キロリットル(同14.5%減)とかなり大きく減少した(注)

(注)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に生じる水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して一般的な車両などに利用される。

 

 

 

 同国経済省のデータによると、砂糖生産量の増加を受けて同年度の砂糖輸出量は約3220万トン(同69.8%増)と大幅に増加し、過去最多を記録した(図4)。この要因についてCONABは、国際砂糖価格が製糖業者にとって高水準であったこと、ブラジルレアルが米ドルに対して安値で推移したこと、COVID-19の持続的拡大による景気低迷や人の移動制限などのCOVID-19拡大抑制策を背景としたエタノール需要の落ち込みなどを挙げている。

   

2021/22年度の砂糖生産量はやや減少の見込み

 同日にCONABは、2021/22年度の第1回生産見通しも併せて公表した。これによると、サトウキビの作付面積は、大豆やトウモロコシなど、より収益性の高い作物への転作が進むことで、842万ヘクタール(前年度比2.2%減)とわずかに減少すると見込まれる。このうち、中南部の収穫面積は753万ヘクタール(同2.4%減)、北東部も微減ながらも同0.5%減の同89万ヘクタールとさらなる減少が見込まれる。  

 サトウキビ生産量は、収穫面積の減少に加え、干ばつや高温といった気候要因により1ヘクタール当たりの収量が74.6トン(同1.8%減)と減少することで、6億2814万トン(同4.0%減)とやや減少が見込まれる。

 砂糖生産量は、原料となるサトウキビの減産見込みを踏まえ3890万トン(同5.7%減)とやや減少が見込まれる。  

 サトウキビ由来のエタノール生産量は、2703万キロリットル(同9.1%減)とかなりの程度の減少が見込まれる。業界関係者の間では、人の移動制限などCOVID-19の拡大抑制策の延長による燃料消費量の減少が懸念されているという。
 
(国際調査グループ 塩原 百合子)

【欧州】

(令和3年7月13日付)欧州清涼飲料水協会、糖類添加量の新たな削減目標を発表(EU)

 欧州清涼飲料水協会(UNESDA)(注)は6月29日、EUおよび英国で製造される清涼飲料水の平均的な糖類添加量を2025年までに2019年比で10%削減すると発表した。同協会は過去にも糖類添加量の削減目標を発表しており、2000年から2015年にかけて13.3%、2015年から2019年にかけて14.6%の削減を達成している。今回の新たな目標は、消費者の嗜好の変化や公衆衛生に対する期待の高まりを受け、消費者が健康的な選択をより容易に行うための環境づくりであり、この目標が達成されれば、糖類添加量は直近の20年間で33%の削減が見込まれるとされる。現在、欧州の清涼飲料水の売り上げに占める無糖または糖類の少ない商品の売り上げ割合は24%を超えており、今後さらにその割合が高まる可能性がある。  

 削減の対象となる飲料は、果実飲料、炭酸飲料、エナジードリンク、スポーツドリンク、アイスティー、アイスコーヒー、フレーバーウォーターなどすべての清涼飲料水とされ、100ミリリットル当たりの平均的なエネルギー量で削減の割合が計算される。また、2019年を基準に設定している理由として、2020年のデータがまだ利用可能でないことと、2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が飲料の消費量や消費行動に与えた影響を考慮するため、と説明されている。同協会は具体的な対応策として、(1)既存レシピの変更(糖類の添加量を削減)(2)低カロリーやゼロカロリーの商品を新たに開発(3)摂取量のコントロールが安易な少量の商品数の増加(4)糖類含有量やエネルギー量の少ない商品の宣伝を継続―を挙げている。  

 また併せて、同協会は広告の基準の変更についても発表した。これまで、同協会に所属する企業は12歳未満の若年層を対象とした清涼飲料水の広告を行ってこなかったが、今後はこれを13歳未満に引き上げる。さらに、視聴者の35%超をこれらの世代が占めるテレビ番組では、清涼飲料水の広告を放映していなかったが、今後はその割合を30%まで引き下げるほか、清涼飲料水の広告を放映しないテレビ番組やチャンネルの範囲を拡大するとしている。  

 英国のコンサルタント会社であるLMC Internationalによると、欧州各国は国によってばらつきがあるものの、日本と比較して、一人当たり年間砂糖消費量は高水準で推移している(図)。しかし、欧州の飲料業界においては、消費者の健康志向の高まりに伴うニーズの変化に応える動きを見せている状況にある。

(注)欧州連合(EU)加盟国の他、英国、ノルウェー、スイスといったEU域外国を含めた欧州の清涼飲料水製造企業および23の国単位の協会などが加入する非営利団体(アルコールやミネラルウォーターなどの部門は含まない)。欧州委員会に対する意見具申などを行う。

 

(国際調査グループ 塩原 百合子)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272