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スマート農業を活用したかんしょ生産の省力化

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最終更新日:2022年2月10日

スマート農業を活用したかんしょ生産の省力化
〜鹿児島県経済農業協同組合連合会のドローンによる受託防除の取り組み〜

2022年2月

鹿児島事務所 山北 淳一

【要約】

 鹿児島県経済農業協同組合連合会(以下「鹿児島県経済連」という)では、かんしょ(さつまいも)生産における負担軽減のため防除作業の受託を行っている。作業にはドローン技術を導入し、受託側の作業省力化を図るとともに、JAグループの施設を用いて効率的な運用を行っている。この取り組みが受託規模の拡大にもつながり、地域のかんしょ生産基盤の維持に寄与している。

1  でん粉原料用かんしょ生産の現状

(1)かんしょでん粉とは

 でん粉と聞いて頭に思い浮かぶのは、片栗粉やコーンスターチ、昨今話題になったタピオカではないだろうか。それらでん粉製品の多くは、ばれいしょやトウモロコシなどを原料として作られており、国内のでん粉供給量の約9割を輸入トウモロコシから製造されるコーンスターチおよび輸入でん粉が占めている(図1)。

 残りの約1割弱は、北海道のばれいしょと鹿児島県および宮崎県(以下「南九州地方」という)のかんしょを原料とする国内産いもでん粉である。このうちかんしょでん粉は、南九州地方で生産されたかんしょを鹿児島県内のでん粉製造工場に搬入して製品化されている。

 かんしょでん粉の用途は、糖化製品向け(水あめ、ぶどう糖、異性化糖など)が大半を占めており、清涼飲料水などに利用されている。

図1

(2) 南九州地方のでん粉原料用かんしょおよびかんしょでん粉の現状

 南九州地方のでん粉原料用かんしょの作付面積と収穫量の推移について、令和2年産と10年前の平成22年産を比較して見てみると、作付面積は5780ヘクタールから4180ヘクタール(対比27.7%減)と大幅な減少となっており、収穫量は、15万200トンから7万6300トン(同49.2%減)に半減している(図2)。

 でん粉原料用かんしょの収穫量が半減したことから、かんしょでん粉の年間製造量も、平成22年産から令和2年産の10年間で4万4612トンから2万1576トン(同51.6%減)に半減している。

 10アール当たりの収穫量も平成29年産以降、減少傾向で推移している。令和2年産は1.83トンとなり、過去10年間で最も低い値となっている(図3)。

図2

図3

(3)サツマイモ基腐病の発生

 かんしょ生産において、近年大きな問題となっているのが、サツマイモ基腐病(以下「基腐(もとぐされ)病」という)のまん延である(写真1、2)。ヒルガオ科のかんしょに寄生する糸状菌を原因とする植物病害であり、日本国内では、平成30年度に沖縄県および南九州地方で初確認された。鹿児島県内では、令和3年度、基腐病の症状が1株以上確認された圃場(ほじょう)の面積が、かんしょの作付面積の約75%にのぼるなど、深刻な被害をもたらしている。

 現在、生産地では大きな危機感をもって基腐病に対処しており、「持ち込まない、増やさない、残さない」の三原則に基づき、発病株の抜き取り、排水対策、早期収穫、り患残渣の持ち出し、土壌消毒など基本技術の徹底した励行が進められている。併せて、ウイルスフリー苗の利用、圃場内のまん延防止に有効とされる葉茎散布剤(アミスター20フロアブル)の散布や基腐病に対する耐性が比較的強いとされる品種である「こないしん」の栽培なども行われている。

写真1

写真2

(4) 南九州地方のでん粉原料用かんしょ生産者の現状

 南九州地方のでん粉原料用かんしょの生産者数1)は、平成22年産の7983人から令和2年産の3638人(対比54.4%減)と10年間で半減している(図4)。生産者の平均年齢は、75歳から67歳と8歳若返っているものの、高齢域から脱していない状況にある2)。生産者数が減少する中で、1人当たりの作付面積は、0.72ヘクタールから1.15ヘクタール(同59.7%増)と大幅に拡大している(図4)。

 こうした中、一部の生産者は、作業負担が大きい作業を他の生産者や地域の作業受託組織などに委託している。特に高齢の生産者が作業委託を行う傾向があり、令和2年産の数値を見ると作業委託無しの者の平均年齢が64歳である一方、作業委託有りの者は71歳となり、年齢差は7歳となっている。高齢化が進行する状況下において、作業受委託による省力化が、高齢者の離農を防ぎ、かんしょ生産基盤の維持に重要な役割を果たしていることが分かる。

図4

2  鹿児島県経済連のスマート農業の取り組み

(1)スマート農業実証プロジェクトの展開

 スマート農業とは、農業分野に存在している重労働や長時間労働のほか、“熟練者でなければできない作業が多い”といった課題をロボット、AI、IoTなどの先端技術を活用することで、省力化、人手の確保、負担軽減につなげようというものである。

 農林水産省では、スマート農業の現場実装を図るため、スマート農業総合推進対策事業を実施するとともに、その加速化を実現するため、令和元年度よりスマート農業実証プロジェクト(以下「実証プロジェクト」という)を全国各地で展開している(元年度採択69地区、2年度採択55地区、2年度採択〈緊急経済対策〉24地区、3年度採択34地区)。

 農林水産省が公表した元年度実証プロジェクトの中間報告を見ると、元年度に採択された水田作、畑作、露地野菜、施設園芸、果樹、地域作物の営農類型について、ほぼすべての事例でロボットトラクター、農薬散布用ドローン、水管理システムなどの導入により10アール当たりの労働時間に一定の削減効果がみられる結果となっている。

 ドローンによる農薬散布についての具体的な効果として、10アール当たりの労働時間を慣行農業と比較すると、中山間地域で11〜85%減、大規模地域で32〜89%減と、平均して81%の削減につながっており(図5)、労働時間の大幅な削減効果に対するスマート農業への期待は大きいものがある。

 今回紹介する鹿児島県経済連では、実証プロジェクトにおいて採択された「センシング技術を活用したサツマイモの高度栽培管理に基づく総合受託作業体系モデル」の実証を行っている。本事業は2年度から3年度まで2カ年にわたり進められている。

図5

(2)鹿児島県経済連の概要

 鹿児島県経済連では、でん粉原料用かんしょおよびでん粉に関わる農産事業のほか、畜産事業、園芸事業などを展開している(図6)。

 事業別取扱高は、令和3年度(計画)が3410億円となっている。内訳は畜産事業が約6割の1916億円を占めており、園芸農産事業は806億円となっている。でん粉原料用かんしょの取扱高は、園芸農産事業のうち14億円となっている(図7)。
 
 

図6

図7

(3)受託防除の内容

ア 受託防除の開始の経緯

 鹿児島県経済連では、管内生産者数の減少への対応の一環として、令和元年度からドローンによる受託防除作業(以下「ドローン防除」という)を開始した。

 圃場の防除作業は、7月から8月の炎天下に行うことが多く、加えて農薬を散布する機械である動力噴霧器を背負ったり、ホースを引いたりする作業は生産者への負担が非常に大きい。特に、高齢の生産者にとっては、作業の負担により農業経営の維持が困難となる場合もあり、生産者への負担軽減、作業の省力化を目的として当受託事業が開始された。

 事業開始初年度は、オペレーターの人員や機材が少なかったこともあり、受託面積もわずかではあったものの、令和2年度からは今後の事業の発展を見据えて、JAグループ鹿児島が「JAグループ鹿児島かんしょスマート農業実証コンソーシアム」を発足し、ドローン防除の需要増加による作業受託面積の増大に対応している。コンソーシアムは鹿児島県経済連が主体となり県内各地の生産者の要望に応える形で、かんしょ、水稲、ばれいしょなどのドローン防除を行っている。また、コンソーシアムではこれらの防除作業をベースに、前述した実証プロジェクトの実証を行っている。
 
イ ドローン防除の概要

 鹿児島県経済連が実施しているドローン防除に取り組むJAは、県下13JAのうち令和元年度4JA、2年度9JA、3年度10JAとなっている。この3年間に実施したドローン防除の受託面積を栽培品目別に見ると、水稲栽培に対する受託が最も多く、次いでかんしょ、ばれいしょ、さとうきび、さといも、かぼちゃの順となっている(表1)。
 

 かんしょの受託面積を見ると、元年度28.6ヘクタールから開始し、翌2年度は104.9ヘクタール(前年比3.7倍)となった。3年度は129.1ヘクタール(同23.1%増)となっており、2年連続で大幅な増加となっている。

 鹿児島県経済連では当初想定していた高齢の生産者のほか、大規模生産者からの申請が多いことに驚いたという。大規模生産者の中には、他作物の収穫とかんしょの防除作業の時期が重なるため、一時的な労働力不足に陥ってしまう時があり、そのような大規模生産者が労働力の補完のため、収穫作業を自らで行う一方で、防除作業をJAに委託しているという。

ウ 機材の追加、オペレーターの育成

 受託面積の増加と共に所有するドローンの機数も年々増加しており、令和3年度は7機となっている(表2、写真3)。1機当たりの購入費用は、メーカーや機種などにより異なるが、バッテリーなどの付属品を含めると1機(一式)で約200万円になるという。

 また、ライセンスを取得したドローンの操縦士(以下「オペレーター」という)の人数も増え、3年度は22人となっている。ライセンスの取得費用は1人当たり約30万円で、取得に要する期間は約1週間となっている。

 オペレーターはドローン防除の専任ではないため、日常の事務業務などを事務所で遂行する一方で、業務日程の合間を見て現場に派遣されるという仕組みになっている。

 こうしたオペレーターの増員は、受託件数の増加のみならず、オペレーター全体の負担軽減にもつながっている。少数のオペレーターが連続して派遣されるといった事態を防ぐことができ、オペレーターであっても休暇を取得しやすい環境の整備にもつながっている。
 

表2

写真3

エ 現地派遣までの流れ

 当日の作業までの流れについて、鹿児島きもつき農業協同組合(以下「JA鹿児島きもつき」という)での実施例を基に説明する(図8)。
 
 
(ア)飛行計画などの申請

 ドローンによる農薬散布には、国土交通省および農林水産省など関係省庁の他、各市町村への飛行計画の申請が必要となっている。これらの申請は、飛行の都度または期間を定めた包括申請が可能となっており、鹿児島県経済連では、年間を通じてドローン防除を実施することから、包括申請の方法をとっている。
 
(イ)生産者への周知

 各JAは、かんしょの植え付け時期である5月に生産者へドローン防除の周知を行う。周知方法はさまざまではあるが、今回取材したJA鹿児島きもつきでは、受託防除のチラシを管内生産者に配布している(図9)。
 
 
(ウ)生産者からの申し込み

 ドローン防除の委託を希望する生産者は、あらかじめJAに申込書と作業への同意書を提出する必要がある。申込書と同意書は表裏一体となっており、申込書部分に圃場名、圃場住所、面積を記入し、提出とともに同意書の内容も了承される仕組みとなっている。

 同意書は九つの同意事項で構成されており、特にドローン防除において課題とされているドリフト(農薬飛散)対応は、生産者自身が事前に周辺住民や近隣農家への告知などに努めるよう書かれている(図10)。
 

(エ)事前の現場立会い

 ドローン防除の申込書を受領後、鹿児島県経済連とJA鹿児島きもつきおよび生産者の3者による事前の現地立会いを実施する。鹿児島県経済連からは、オペレーターが立ち会うこととなっており、この際に得た情報は、実際に防除を行うオペレーターへと引き継がれている。
 
(オ)派遣チームの編成・機体の割り振り

 派遣チームは原則3人で構成され、オペレーターが2人、農薬の調合、その他補助員が1人となっている。繁忙期は、経験が豊富なオペレーター2人のみでの派遣もあるという。なお、このタイミングで機体の割り振りを行っている。

3  圃場におけるドローン防除の様子

 令和3年8月に前述したJA鹿児島きもつき管内で実施されているドローン防除への同行を行ったので、その様子について報告する。

(1)JA 鹿児島きもつきの概要

 JA鹿児島きもつきは、鹿児島県本土大隅半島の南側に位置している(図11)。
 

 事業区域は鹿屋(かのや)市(吾平(あいら)町、輝北(きほく)町を除く)、垂水(たるみず)市、肝属(きもつき)郡で、大隅半島のほぼ下半分を占めている。組合員数は令和2年度末時点で正組合員が7771人、准組合員が6313人の計1万4084人となっている3)

 管内の6市町村の耕地面積は1万7090ヘクタールあり、そのうちの68%が畑作地域である4)。また、元年の農業産出額(推計)は980億6000万円で、鹿児島県の農業産出額の約2割を占めている。

 管内6市町村の農業産出額の内訳を見てみると(図12)、黒毛和牛、かごしま黒豚といった畜産物が75.8%、耕種が23.8%と畜産物が大きなウエイトを占めている。耕種の内訳を見てみると、野菜が51.9%、次いでばれいしょ、かんしょのいも類が16.4%を占めている。

図12

(2)ドローンによる防除作業

ア 圃場の概要

 同行当日は、JA鹿児島きもつき管内の生産者である稲村浩二氏の圃場でドローンによる農薬散布を行った。稲村氏は、かんしょの他にんじん、漬物加工用だいこんなども出荷している。昨年まで父親と稲村氏の2人体制であったが、父親の離農により現在は稲村氏のみでの営農となっている(写真4、5)。
 



 稲森氏は焼酎およびでん粉向けにシロユタカ、こないしん、コガネセンガンを栽培しており、うち令和3年産のでん粉向けの圃場面積は315アール(13圃場)となっている。

 また、稲村氏はドローン防除の初年度である元年度からJA鹿児島きもつきへの委託を開始しており、年1回の防除を実施している。

 今後、圃場の規模拡大を考えているものの、サツマイモ基腐病の影響もあることから、今期のシロユタカおよびこないしんの収穫状況を見て判断したいとのことであった。
 
イ 農薬の準備

 始めに農薬の希釈に用いる水を軽トラックの荷台に乗せたタンクに注水する。農薬の希釈は圃場脇で行うことから、常に水を確保しておく必要があるが、水の補充はガソリンスタンドなどJAグループ所有の施設を利用しており、圃場から大きく離れることなく必要資材の確保ができる。これは地域内に多数のサービス施設などを有するJAグループの強みでもある。

 散布した農薬は、殺虫効果があるプレバソンフロアブル5とサツマイモ基腐病のまん延防止に効果があるアミスター20フロアブルである(写真6)。ドローンに取り付けられているタンクの容量は、16リットルとなっている(写真7)

写真6

写真7

ウ 圃場での散布

 ドローンの操縦はGPSによる自動操縦も機能として搭載されているものの、ドリフト(農薬飛散)防止のため人による操作が基本となっており、農薬が均等に散布されるよう、飛行高度や飛行速度を現地の状況に合わせて調整する。この際、オペレーターと対面に補助者が立ち、オペレーターの視認が困難な場所の状況を無線機を介して情報提供している(写真8、9)。


 
 防除作業は1ヘクタール当たり約30分で完了する。うちドローンの飛行時間は12分程度で、他の時間は圃場間の移動や農薬の補充およびバッテリー交換となっている。稲村氏によると、従来の動力噴霧器による防除では1ヘクタール当たり1日以上要するとのことで、ドローンによる省力化の効果は非常に大きいものとなっている。

 事前の現地立会いで圃場の周辺環境は把握できているものの、当日の天候などにより圃場周辺へのドリフトが懸念される箇所では、補助員またはJA職員が動力噴霧器を用いて手作業による防除(補正作業)を行っている(写真10)。補正作業は、機械の取り扱いに慣れた作業員と時間を要することから、他法人によるドローン防除サービスでは、補正作業が追加で必要だと想定される圃場は初めから受託しないといった事例も発生しているという。

写真10

エ ドローンの清掃

 当日の散布がすべて完了した後、ドローンの清掃を行う。次回、他品目での利用も想定されることから、農薬の残留がないよう入念な清掃が求められている。なお、機体の仕様が完全防水ではないため、機体外装は手拭きによる清掃となっている(写真11)。
 

写真11

4 ドローン防除の効果と課題

(1) 効果

 鹿児島県経済連では7月から8月の炎天下の中で実施していたかんしょの防除作業に注目し、その作業を受託することで、かんしょ生産者の負担軽減につなげることができたとしている。令和元年に35.9ヘクタールから始まった受託面積は、対象品目の追加などを経てこの3年間で8.5倍になっており、高齢を理由とする委託のほか、大規模生産者の人手不足の補完など、圃場面積や経営規模の大小を問わない需要があると見込まれ、今後も受託面積は拡大していくと考えられる。

 同時に、スマート農業の考え方を採用し、ドローン防除を導入したことで、受託側も作業の省力化が図られたと考えられる。

 加えて、令和3年3月にかんしょへの適用拡大が登録され、サツマイモ基腐病のまん延防止に有効とされる薬剤「アミスター20フロアブル」の散布方法に“無人航空機による散布”が含まれていたことも受託面積拡大の追い風になったと考えられる。また、従来の動力噴霧器などによる防除では、作業者が圃場内や(うね)間を歩行する必要があり、葉茎を損傷させることがあった。傷ついた葉茎が作物病害の原因となることも多く、作業者が圃場内にほとんど立ち入らないドローン防除は、サツマイモ基腐病などの作物病害対策としても期待されている。

(2) 課題

 鹿児島県経済連では生産者の希望に沿った防除受託を心掛けているものの、ドローン防除はさまざまな手続きが必要なために作業日が限定されることから、生産者の求める適期防除のすべてに応えることが難しい状況となっている。加えて、天候不順による休止、延期、中止なども適期防除を困難にしている。

 受託規模の拡大に伴い、機材の増強などは順次対応してきているものの、今後、より多くの防除受託を適期に実施するために、JAごとにドローン防除の担当部門を配置するといった案も検討している。しかしJA単体で行う場合、地域の栽培品目が少ないことなどから防除時期に偏りが生じ、年間を通じたドローンの運用ができず、非稼働期間が発生してしまうという懸念があるほか、高額なドローンの購入費用、オペレーターの資格取得費用などJA単体では費用負担が大きいといった課題もある。

おわりに

 作業の一部を委託することで、省力化を図り農業経営を安定的に維持できるという仕組みは、地域の生産基盤の維持に寄与するものと考えられる。高齢化対策としての受託防除は、作業負担を軽減することで高齢者の離農を防ぎ、地域内の生産者数の維持に重要な役割を果たしつつあると考えられる。

 また、受託する側はスマート農業を採用し作業自体の省力化を図ることで、受託規模の拡充やサービスの向上につなげることが可能である一方、現時点においては、事業規模の拡大に伴う費用が大きいことも課題となっている。

 農業生産者の高齢化や大規模化が進む中、地域内の作業受託組織はより存在感を増していくと考えられる。今後、受託側のスマート農業への取り組みが生産者に寄り添った作業受託の発展の契機になり得るのではないかと期待している。

 最後に、本稿の作成に当たり、ご多忙の中にも関わらず取材にご対応いただいた鹿児島県農業協同組合連合会農産事業部の皆さま、鹿児島きもつき農業協同組合園芸農産部園芸農産課の皆さま、稲村浩二氏にこの場を借りて深く御礼申し上げます。
 
【参考資料】
1)独立行政法人農畜産業振興機構「対象でん粉原料用いも生産者数及び収穫面積の推移」(でん粉原料用かんしょをでん粉工場に出荷した生産者数ベース。鹿児島県と宮崎県の合計。法人を含む。)
2)機構調べ(でん粉原料用かんしょをでん粉工場に出荷した生産者ベース。鹿児島県と宮崎県の合計。法人を除く。)
3)JA鹿児島きもつき農業協同組合「2021DISCLOSURE JA鹿児島きもつきのご案内」
4)農林水産省「農林水産関係市町村別統計(令和2年耕地面積鹿児島県)」
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272