和菓子作家の名刺を作ってから間もなく10年が経とうとしています。和菓子の魅力に惹かれ夢中になるあまり、昼夜も休日も問わず和菓子作りに試行錯誤していた日々を昨日のことのように思います。
大変ありがたいことに、この10年間というもの、たくさんの温かい応援とともにさまざまなご依頼を頂いております。初めてお会いする方には「和菓子作家ってどのようなお仕事なのですか?」とご質問を頂くことが多いので、まずは簡単にそのご説明をしようと思います(図1)。
和菓子作家の仕事とは文字通り「和菓子を作り出すこと」なのですが、私の場合は自分のお店を持っておらず、お菓子の販売をしていません。ですので、お仕事として企業さまよりご依頼を頂く場合は “和菓子の監修” を主としています。そして自分個人としての和菓子作品は、作りたいタイミングでこつこつと作って、自分のSNSや
ウェブサイトにアップしています(図2)。
さて、和菓子の監修について具体的に申し上げると、和菓子の意匠(デザイン)、菓銘、構成、素材などを考え、ご提案することです。場合によっては実際に使う材料の仕入れ先を探したり、PRのアイデアを出すこともあります。ご依頼主である企業さまと一緒に良いお菓子を作っていく、そんなイメージですね。
もちろん和菓子を作り始めた頃は、いずれ自分の店を持って作りたいお菓子を自由に作ってお客様に食べていただくスタイルも考えました。それはとても素敵なことで今でも憧れているのですが、自分自身の性分をよくよく考えた末、お店は持たずに今のようなスタイルで積み重ねていくことに決めました。今こうして自分に合ったやり方で和菓子と向き合うことができ、とてもありがたくそして幸せに思っています。