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4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年3月時点予測)

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最終更新日:2022年4月11日

4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年3月時点予測)

2022年4月

ブラジル
2021/22年度の砂糖生産量はかなり大きく減少し、輸出量も大幅に減少する見込み
 2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、868万ヘクタール(前年度比0.3%増)と横ばいで推移すると見込まれる(表2)。サトウキビ生産量は、中南部地域において乾燥気候が継続した上、7月などに霜害も発生したことにより5億7850万トン(同12.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖生産量は、サトウキビの減産を受けて3766万トン(同15.6%減)と、依然としてかなり大きく減少すると見込まれる。輸出量も同様に、砂糖の減産や、コロナ禍における物流の混乱を背景とした海上運賃の高騰を受けて、インドネシアやアフリカ諸国などでブラジル産の粗糖需要が低下していることから、2727万トン(同19.9%減)と大幅な減少が見込まれる。
表2
(参考)ブラジル
インド
2021/22年度の砂糖生産量と輸出量は、前月予測から上方修正
 
2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、505万ヘクタール(前年度比3.3%増)とやや増加が見込まれる(表3)。主産地の降雨量は平年並みまたは平均を上回っており、生育状況は順調であることから、サトウキビ生産量は4億2475万トン(同5.6%増)とやや増加すると見込まれる。砂糖生産量は、北部で発生した10月頃の大雨の影響が当初の見込みより小さいとみられるほか、主産地のマハラシュトラ州やカルナータカ州のサトウキビ生産量が予想を上回っていることを要因に前月予測から上方修正され、3580万トン(同6.4%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。輸出量は、砂糖の国際価格の上昇による輸出意欲の高まりを受けて前月予測の736万トンから上方修正され、857万トン(同0.3%増)と横ばいで推移すると見込まれる。

2021/22年度2月末時点の砂糖輸出契約数量、前年同期の約2倍
 
ISMAは3月4日、2021/22年度(10月〜翌9月)2月末時点の砂糖輸出契約600万トン(前年同期比1.9倍)のうち、実際に輸出された量は420万トンに達したと発表した。3月中には、さらに120万~130万トン分が輸出され、3月末時点の砂糖輸出量は540万〜550万トン(同1.8倍)と見込まれている。ISOが同年度の世界の砂糖需給バランスを193万トンの不足と予測していることや、同国産砂糖をさらに購入したいという砂糖輸出業者の関心の高まりを考慮し、ISMAは同年度の砂糖輸出量の予測値を600万トンから750万トンに上方修正している。

 一方、同年度1月末までの国内の砂糖実売量は912万トンで、前年同期の877万トンから4.0%増加したと推定されており、政府が定める3月の砂糖の販売割当数量も前年から60万トン引き上げられている。これらを踏まえISMAは、同年度の砂糖消費量の予測値を上方修正し、2720万トン(前年度比3.8%増)と見込んでいる。
表3
(参考)インド
中国
2021/22年度の砂糖生産量はかなりの程度減少し、輸入量は大幅に減少する見込み
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、112万ヘクタール(前年度比3.6%減)とやや減少すると見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地である広西チワン族自治区や雲南省の天候が良好であったため、7389万トン(同0.4%増)とわずかに増加すると見込まれる。一方、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシへの転作の増加により(注1)、14万ヘクタール(同37.8%減)と大幅に減少すると見込まれる。てん菜生産量も、収穫面積の減少や冬季の寒波などを背景に、712万トン(同42.5%減)と大幅な減少が見込まれる。

 砂糖生産量は、原料の減産に加え、てん菜収穫期間中に発生した大規模停電による製糖工場の操業停止や、降雨によるサトウキビ収穫の遅滞などを受けて1040万トン(同9.8%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。輸入量は、2020年に引き続き2021年も国内需要を上回る量の砂糖を輸入したことで、国内在庫の積み増しが想定されることから、674万トン(同16.7%減)と大幅に減少すると見込まれる。

(注1)同国では、アフリカ豚熱からの回復による豚飼養頭数の増加を受けて、飼料用トウモロコシなどの需要が高まりを見せている。詳細は、2021年6月17日付海外情報「中国農業展望報告(2021–2030)を発表(飼料編)(中国)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002967.htmlを参照されたい。

農業や農村の近代化推進計画を発表、サトウキビの収量や品質の向上を目指す
 中国国務院は2月11日、第14次5カ年計画(2021〜25年)(注2)に基づく、農業や農村の近代化の推進を目的とした計画(農業と農村の近代化推進に関する第14次5カ年計画:機構仮訳〈“十四五”〉)を発表した。これによると、農作物の生産基盤の強化や供給の安定化、農業分野の技術開発による競争力向上、農村部での産業発展、農村のインフラ整備、農村での生活様式における低炭素化、貧困からの脱却促進などを進めるとしている。

 砂糖産業については、主要なサトウキビ生産地である広西チワン族自治区および雲南省の生産能力の向上、砂糖の輸入先の分散によるサプライチェーンの安定化、収量の低い圃場(ほじょう の改善の迅速化、農作業の機械化が可能な大規模な圃場の拡大が記載されている。

(注2)中国の経済および社会の発展に係る国家計画(「国民経済・社会発展第14次5カ年計画」)で、2021年3月に発表された。
表4
(参考)中国
EU
2021/22年度の輸出量は、かなり大きく増加する見込み
 2021/22年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、146万ヘクタール(前年度比1.4%減)とわずかな減少が見込まれる(表5)。てん菜生産量は、干ばつの影響を受けた前年と比べ、今期は生育期間の降雨量が多く、生育状況が順調であることから、1億1011万トン(同11.9%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。砂糖生産量は、2021年末以降スペイン南部で発生している干ばつの影響を考慮して前月予測からわずかに下方修正されたものの、てん菜の増産を受けて1709万トン(同12.9%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。輸出量は、生産量の増加などを踏まえ、143万トン(同13.4%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。
表5
(参考)EU
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272