アサヒビール株式会社ではパナソニック株式会社と共同で、プラスチックの削減と持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目的に食物繊維を活用した世界初のエコカップ「森のタンブラー」(バイオマスマーク商品認定済)を2018年から開発し、2019年に販売を開始しました。
一方で、エコカップをそのままゴミとして廃棄することに抵抗を感じる人もおり、アサヒビール株式会社の担当者は捨てる必要のないカップを作ろうと考えました。そこで「使って捨てるのがだめなら、使って食べればいい」との発想から、当社の食べられるトレー「イートレー®」(写真1)に着目し共同開発が始まりました。
そもそもイートレー®の開発のきっかけは、十数年前に当社の代表取締役専務の榊原が、大規模イベントの屋台で提供されるプラスチックトレーが大量に廃棄された光景を目にし、衝撃を受けたことでした。そこで、当時当社で製造していたアイスモナカの皮の製造技術を応用して可食容器を作ることができないかと思いつき、イートレー®の開発に成功し、現在に至っています。
イートレー®の主原料は国内産のばれいしょでん粉で、アイスコーンの製造方法と同様に高温高圧下で焼成して製造します。容器として一定時間の耐水性があるほか、味は焼きとうもろこし、紫いも、えびせんべい、オニオン味と4種類をそろえ、乗せるものに合わせて選ぶことができます。
イートレー®の技術を応用した新しい可食容器「もぐカップ」の開発に当たっては、まずは型を作成し、イートレー®と同じ配合で製造試験を行いました。しかし、飲料を入れる目的のためにイートレー®よりも容器の厚みを薄くする必要があり、当初は満足のいく性能が発現できませんでした。
数カ月間試行錯誤を繰り返した末、現在の配合にたどり着き、もぐカップが完成しました。