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鹿児島県における令和3年産原料用さつまいもの生産状況などについて

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最終更新日:2022年11月10日

鹿児島県における令和3年産原料用さつまいもの生産状況などについて

2022年11月

鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会

【要約】

 鹿児島県における令和3年産さつまいも全体の生産量は19万600トン(前年産比89%)で、このうち、でん粉原料用さつまいもの生産量は7万3600トンであった(同102%)。

はじめに

 鹿児島県におけるさつまいもは、本県普通畑の約2割に作付けされており、夏場の土地利用型作物として、輪作体系や防災営農の面から重要な作物として位置付けられている。また、でん粉や焼酎などの原料用をはじめ、青果や菓子(加工)用として幅広く利用されており、地域経済を支える面からも重要な作物である。

 本稿では、令和3年産原料用さつまいもの生産状況やでん粉工場の原料確保、当協議会における生産振興に向けた取り組みについて報告する。

1.令和3年産さつまいもの生産状況

(1)作付面積

 令和3年産の作付面積は、1万300ヘクタール(前年産比94%)(図1)であり、全国の作付面積3万2400ヘクタールのうち約3割を占め、全国第1位となっている。このうちでん粉原料用は、県全体の約4割を占める4110ヘクタール(同103%)で栽培されている。
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(2)生産量

 令和3年産さつまいもの生産量は、農業者の高齢化に伴う労働力不足などの影響で作付面積が昨年より600ヘクタール減少したことに加え、8月の長雨による日照不足やサツマイモ基腐(もとぐされ)病(以下「基腐病」という)の発生拡大などの影響もあり、19万600トン(前年産比89%)(図1)となり、10アール当たりの収量(単収)は、1850キログラム(同94%)(図2)であった。
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(3)用途別生産量

 鹿児島県におけるさつまいもの用途は、でん粉原料用と焼酎原料用が全体の約9割を占めており、令和3年産におけるでん粉原料用の生産量は、全体の39%となる7万3600トン、焼酎原料用は、全体の48%の9万1115トンとなっている(表)。
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2.でん粉工場の原料確保

 鹿児島県内のさつまいもでん粉工場は、主産地である南薩、大隅、種子島地域を中心に、農協系2工場、民間11工場の計13工場が操業しており、令和3年産のでん粉原料用さつまいもは、前年に比べ生産量はやや増加したものの、計画数量の確保には至っていない状況である。

 また、平成30年産に発生が確認された基腐病の影響もあり、安定的な原料確保が課題となっている。

3.生産振興に向けた取り組み

(1)用途別原料確保対策

 本協議会では、でん粉工場や焼酎メーカーに対し翌年産の需要量調査を行い、地域別に取りまとめ、毎年3月に「原料用さつまいもの需要希望量等について」を地域段階において情報共有するほか、健全な種いも生産のポイントに関するチラシを作成し、生産者に周知するなど、計画的な生産を推進している。

 また、でん粉原料用として出荷を予定している生産者に対しては、独立行政法人農畜産業振興機構鹿児島事務所の協力のもと、国の支援制度(品目別経営安定対策)(図3)などを周知し、令和5年産に向けても同様の取り組みを行うこととしている。
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(2)基腐病対策

 沖縄県に次いで、平成30年12月に本県で基腐病が確認されて以降、令和4年10月27日現在、28都道府県で発生しており、全国的に広がりを見せている。

 鹿児島県では、基腐病対策を着実に推進していくため、令和4年1月に「鹿児島県サツマイモ基腐病対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、「鹿児島県サツマイモ基腐病対策アクションプログラム」を策定し、ほ場に基腐病菌を「持ち込まない」「増やさない」「残さない」対策を、関係機関・団体と一体となって総合的に推進している(図4)。

 本協議会でも、鹿児島県や関係機関・団体と連携して、令和4年8月に生産者などを対象に、育苗のポイントや基腐病に抵抗性を有する新品種「みちしずく」などについて研修会を開催するなど、健全苗と健全なほ場の確保に向けた取り組みを推進している。
 
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おわりに

 鹿児島県のさつまいもの生産振興において、基腐病のまん延防止は喫緊の課題であり、基腐病に打ち克つためには、ほ場に基腐病菌を「持ち込まない」「増やさない」「残さない」対策を総合的に推進する必要がある。

 これらの基本的な対策を生産者などが確実に実践することで、基腐病の発生を軽減させ、さつまいもの生産回復につながるよう、今後とも関係機関・団体と一体となり啓発活動や研修会活動、情報共有を図っていきたいと考えている。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272