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北海道産ばれいしょでん粉 紙袋パレット輸送の取り組み〜安定供給に向けた物流効率化・省力化を目指して〜

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最終更新日:2026年1月9日

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北海道産ばれいしょでん粉 紙袋パレット輸送の取り組み
〜安定供給に向けた物流効率化・省力化を目指して〜

2026年1月


 


 


 
ホクレン農業協同組合連合会 農産事業本部 農産部
でん粉課 課長 野田 達也
 

はじめに

 皆さまには、日頃より北海道産ばれいしょでん粉をご愛顧いただき厚くお礼申し上げます。

 北海道におけるばれいしょは、畑作農業の輪作にとって欠かすことのできない重要な品目であり、生産されるばれいしょでん粉は、全国各地で片栗粉をはじめとしたさまざまな用途でご使用いただいています。

 一方で、でん粉の輸送という側面においては、今後ドライバー不足の深刻化が予想される中、安定的に北海道産ばれいしょでん粉を全国各地にお届けできる体制を整えるため、でん粉紙袋のパレット輸送化に向けて議論と試験輸送などを経て、実際のオーダーに基づく紙袋パレット輸送を開始しました。その経過や取り組みについてご紹介します。

1 パレット輸送の必要性について

(1)北海道産ばれいしょでん粉の荷姿および配送先について

 近年の北海道産ばれいしょでん粉の販売数量は、約15万トンとなっており、その荷姿はフレキシブルコンテナバッグ(フレコン:1トン)が約7万3300トン、でん粉紙袋(25キログラム)が約7万6700トンと、ほぼ半分ずつとなっております。

 全国各地へでん粉を配送しており、約83%が北海道以外の地域への配送となっております。

 でん粉紙袋のうち、約60%が海上輸送用のトレーラー(20トン)、約40%が鉄道輸送用のJRコンテナ(5トン)での輸送割合となっております。以下、文中において「トレーラー」については20トン、「JRコンテナ」については5トンを指します。

(2)これまでのでん粉紙袋(25キログラム)の輸送

 これまで、でん粉紙袋の輸送において、出荷は製造元のでん粉工場もしくはJA倉庫や営業倉庫にて、輸送会社の運転手や作業員が一袋ごとに手作業でのバラ積みを行っていました。トレーラーの場合、でん粉紙袋を800袋積むことになり、積み込み作業時間は約2時間30分程度かかっていました。

 納入した際の消費地の倉庫などでも、輸送会社の運転手や作業員が、一袋ごとにバラ降ろしを行っていました。トレーラーの場合、でん粉紙袋800袋を降ろす作業時間は、積み込み時同様に約2時間30分程度かかっていました。

(3)トラック運転手不足・高齢化

 現在、トラック運転手の不足および高齢化が進んでおり、令和4年度の就業者は、約86万人となっており、男性労働力への依存度が高いだけでなく、高齢化も進んでいます。




 総務省の労働力調査によると、50歳以上の割合は、平成22年には33.7%でしたが、令和4年には48.8%となっています(図1)。

 また、トラックドライバーの年間労働時間は、全産業と比較し「長い」状況です。

 令和4年度の年間労働時間は、大型トラックが2568時間(全産業平均対比+444時間)、中小型トラックが2520時間(同+396時間)となっております(図2)。

 鉄道貨物協会の予測においては、「2030年度のトラックドライバーの供給量は需要量の約6割になる」としており(令和4年度「本部委員会報告」より)、将来的なドライバー不足は、深刻な状況が予想されます。
 
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2 でん粉未来プロジェクトでの議論について

(1)でん粉未来プロジェクトとは

 北海道には、JAグループのばれいしょでん粉工場が9カ所あります。9工場の工場長による会議「澱粉工場長会議」にて、平成30年7月に「でん粉製造ならびに流通における省力化と更なる効率化への取組、老朽化などに対する施設整備が必要」である中、直面する課題などを整理し対応方向を検討する方向性が示されました。

 その後、30年12月、澱粉工場長会議内に「でん粉未来プロジェクト」を設置し、工場の現場感覚、物流実態および専門知識などを踏まえた幅広い議論を行うこととしました。

 「でん粉未来プロジェクト」については、ホクレンでん粉課および北海道澱粉工業協会が主催し、メンバーは、9工場(30年当時は10工場)のでん粉工場長(もしくは担当者)、全国農業協同組合連合会、ホクレン物流一課、ホクレン帯広支所および北見支所でん粉担当者などが参加し、これまで22回にわたって議論を行ってまいりました。

 このプロジェクトでの協議の経過の詳細は表1の通りです。
 

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(2)でん粉未来プロジェクトでの議論まとめ

 平成31年より「でん粉未来プロジェクト」にて協議、輸送試験などを行ってきました。振り返ると協議において、以下の大きな節目が4回ほどありました。

 1)令和2年12月に紙袋の大きさ、パレットのサイズ、4本回しとする方向性を決定。

 2)5年3月にスキームの決定と6年10月からトレーラーによりパレット輸送を開始することを決定。

 3)6年5月に荷崩れの定義を設定。

 4)7年5月にこれまでの試験輸送結果を経て、7年10月からJRコンテナ輸送を開始することを決定。

 特に、2)の5年3月の決定である「6年10月からパレット輸送を開始する」と目標を定めたことにより、各地のでん粉工場においては、パレタイザーの更新やデパレタイザーの導入が進められ、7年10月に、主産地のでん粉工場および倉庫において、パレット輸送ができる体制が整いました。



 

 荷姿は、紙袋1本当たり25キログラム。第6回協議においては、1.1m×1.1mパレット(1.1パレット)に4本の紙袋を並べ、複数段積む輸送形態(4本回し、ハイ積み)とすることが決まりました(図3)。

 

 
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3 パレットにおける輸送体制について

(1)運用フロー

 次に、具体的なパレット輸送体制について説明します。運用パレットはJPR(日本パレットレンタル株式会社)の1.1パレットを基準とします。出荷に合わせて、ホクレンが産地(北海道内)のデポ(物流拠点)からパレットを借り、でん粉工場もしくは保管倉庫まで輸送し保管します。

 そして、実際のオーダーに合わせて、パレットを使用して紙袋を積み込み、消費地へ出荷し、消費地の納品先に着荷後、パレットをユーザーに名義変更するスキームとしております(図4)。
 
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(2)荷崩れ防止対策

 荷崩れ防止対策は、トレーラーの場合は、「ラップ巻き」もしくは「接着剤塗布」、JRコンテナの場合は、「接着剤+ラップ巻き+グリップシート」としました。なお、ラップ巻きの基準は、「下段5周、ローピング2本(ラップを細くした状態でパレットに巻き付ける)、中段3周、上段3周」としました。

 なお、コンテナには、五つのパレットを積みますが、真ん中のパレットがズレやすいため、トラック底辺とパレットの間にグリップシートを敷くことでズレ防止を図ることとしました(図5および図6)。

 なお、令和6年5月「第17回未来プロジェクト」において、荷崩れの基準を定義しております。消費地到着時の紙袋が、荷崩れの基準を超える場合は、輸送会社が修正、積み直しを行うことを確認しております。



 
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4 実際の輸送状況と効果

(1)トレーラーでの輸送について

 令和6年10月から実際のオーダーに基づいてパレット輸送は開始され、6年産のトレーラー輸送実績は1万5200トン(6年10月〜7年11月)となりました(図7)。5年12月のでん粉未来プロジェクトでは、6年度はトレーラー輸送のうち56%をパレット輸送するという目標を立てていましたが、そこまでには至っておりません。
 
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(2)JRコンテナでの輸送について

 令和7年10月から、実際のオーダーに基づいてパレット輸送は開始されました(図8)。
 
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(3)効果

 これまで、紙袋バラ積み、降ろし時の所要時間は、トレーラーの場合は2.5時間×2(積み・降ろし)の計5時間、JRコンテナの場合は1時間×2(積み・降ろし)の計2時間かかっていました。パレット輸送化によりトレーラーでは20分×2(積み・降ろし)の計40分程度、JRコンテナでは10分×2(積み・降ろし)の計20分程度となり、トラックドライバーの作業時間、荷下ろし立ち合い時の倉庫作業員の拘束時間が大幅に削減されました。

 さらに、これまで力仕事が必要であったトラックドライバーや作業員は、上記のような作業が必要でなくなり、女性や高齢ドライバーの活用の場が広がっております。

 また、でん粉の輸送においては、こうした取り組みを他の紙袋品目に先駆けて率先して行っていることから、高騰し続ける輸送運賃について、一定程度の抑制が可能となり、将来的な安定輸送を継続できる体制ができると考えております。

5 今後に向けて

 ばれいしょでん粉の取り扱いに携わる関係者は、このままでは10年後には消費地にでん粉を運ぶことができなくなるという危機感をもって協議をし、輸送試験などの取り組みなどを重ねてきました。その結果、パレット輸送を開始するというところまでたどり着きました。

(1)課題

 しかし、パレット輸送には例えば以下のような課題が挙げられます。

 ア 産地においては、過渡期には、パレット積み向けのロットとバラ積みが必要なロットが混在し、在庫管理が非常に複雑になっております。

 イ 消費地においては、年間取扱数量が少ないユーザーや近くにパレット回収拠点がないユーザーなどへの協議が必要な状況となっております。

(2)目標

 そのような状況ではありますが、個々の課題の解決に努め、図9の通り、段階を踏みながら令和15年にはバラ輸送から完全にパレット輸送に切り替えすることとし、目標を定めて進んでいきたいと考えております。
 
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おわりに

 これまで、ばれいしょでん粉紙袋におけるパレット輸送への取り組みをご紹介してきました。平成30年からこれまでに協議、輸送試験、体制作りに関係されたすべての皆さまに感謝を申し上げます。

 今後とも、北海道のばれいしょでん粉を安定的に消費地の皆さまにお届けできる体制を継続してまいります。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8678