加工食品の分野では、保水性や保油性、保形性などの物性改良を目的とした食物繊維素材の利用機会が増えている。これらの食物繊維素材は、柑橘、リンゴ果皮や木材パルプなどさまざまな原料から製造されており、機能・価格などの面から選ばれている。
かんしょでん粉残渣は、表1で示した通り、食物繊維の他にでん粉(糖質)を35%程度含有している。市販の食物繊維素材は、でん粉を含まないことが多いが、でん粉は加熱調理の際、
糊化することによって、保水性や保形性の向上などの物性改良効果をもたらす。そのため、あえてでん粉を除去することは行わず、乾燥および粉砕工程のみの簡易な製造法で調製し、その機能性や利用特性を評価することにした。比較対象として、市販の食物繊維素材(木材パルプ由来)や、酵素法にてでん粉を除去したかんしょでん粉残渣乾燥物を使用した。
各試料に水あるいは油を添加した後の保水性・保油性・膨潤性を比較した結果を図2に示す。この試験では加熱工程が無く、でん粉が機能を発揮しないため、でん粉を除去し食物繊維含量を高めたかんしょでん粉残渣の方が、同じ重量当たりでは高い機能性を示した。しかしながら、でん粉を除去していない試料についても、市販の食物繊維素材と遜色ない機能を有し、物性改良剤として利用できるものと考えられる。
また、加熱工程のある試験においては、でん粉が糊化し機能を発揮することで、保水性などが向上し、でん粉を除去したかんしょでん粉残渣と比較して、図3のようにハンバーグや包あん食品の焼成前後の重量変化が少なくなる(肉汁の流出を抑制する)という結果を得ている。