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平成29年度第1回さとうきび試験研究委員会に出席

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最終更新日:2017年12月18日

2017年11月

鹿児島事務所 小山 陽平

 11月8日(水)から9日(木)の2日間にわたり、公益社団法人鹿児島県糖業振興協会(以下「糖振協」という。)主催の「さとうきび試験研究委員会」が奄美市内(奄美大島)で開催され、試験研究委員10名を含む各島のサトウキビ担当者38名が出席した。
 鹿児島県のサトウキビの奨励品種は審査会において決定されているが、必要に応じ専門的な調査研究を実施するものとされており、本委員会ではサトウキビの奨励品種決定に向けた検討を行っている。
  今年度第1回目である本委員会では生産現場での検討を中心に実施しており、現地検討会では生産力検定試験圃場(注1)において生育状況を確認したほか、室内検討会では各島における奨励品種候補(以下「供試系統」という。)の生育状況および平成29年産のサトウキビの栽培動向について検討を行った。

 (注1)
 サトウキビ新品種の育成に当たっては、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターなどで選抜された供試系統について、気象条件や土壌条件が異なる各島での適応性を確認するため、鹿児島県では、国・県の試験場のほか、糖振協がさとうきび生産対策本部などに委託して、種子島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の6島において生産力検定試験を行っている。
  生産力検定試験では、発芽率、原料茎数、原料茎長、原料茎径(茎の直径)、原料茎重、甘蔗糖度などの各項目について、鹿児島県の奨励品種で標準品種としての農林8号などと供試系統の成績を比較している。

1 現地検討会

 8日の現地検討会では、生産力検定試験圃場、大規模生産者の圃場および関連施設を訪問した。 試験圃場では、供試系統と比較対象としての現行の奨励品種との栽培型別(春植・株出・夏植)の生育状況を実際に確認した。 その他、8月下旬にビレットプランタ(注2)による植え付けを行った大規模生産者の圃場において発芽状況を確認したほか、奄美市が運営する堆肥施設や黒穂病に関する検定を行っている県農業開発総合センター大島支場の視察を行った。

 (注2)
 ハーベスタで採苗した苗を植え付ける機械
生産力検定試験圃場での生育状況の確認の様子
生産力検定試験圃場での生育状況の確認の様子
ビレットプランタによる植え付けを行った圃場
ビレットプランタによる植え付けを行った圃場

2 室内検討会

 9日の室内検討会では、生産力検定試験における中間成績及び最近のサトウキビの栽培動向などについて、各島の出席者から報告があった。
 まず、林満委員長が開会のあいさつを行い、「今年は夏場の干ばつや相次ぐ台風の襲来があり今後の生育が懸念される。また、昨年から奨励品種となった農林27号については、黒穂病への抵抗性が弱い点に十分留意して栽培していただきたい」と述べた。
 続いて、平成29年産の鹿児島県内各島における品種および栽培型の動向について下表のとおり報告があった。
表:鹿児島県内各島における品種および栽培型の動向
表:鹿児島県内各島における品種および栽培型の動向
 なお、翌年3月に開催予定の第2回試験研究委員会では、本年度の生産力検定試験の成績報告および翌年度の試験設計などについて検討する予定である。
室内検討の模様
室内検討の模様
 最後に、今後の新品種育成については、各島から機械収穫の拡大による機械化適性品種や株出栽培の比率の増加による多回株出に適応した品種の育成を望む声が多かった。引き続き、今年度の生産力検定試験が円滑に行われることを願うとともに、今後の本委員会における議論の方向性を注視したい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:鹿児島事務所)
Tel:099-226-4731