平年29年度種子島さとうきび生産者振興大会の開催について
最終更新日:2017年12月26日
2017年11月
鹿児島事務所 岸本 真三市
11月10日(金)、鹿児島県熊毛郡中種子町にある種子島こりーなにおいて、平年29年度種子島さとうきび生産者振興大会(以下「生産者振興大会」という。)が開催された。
この生産者振興大会は、近年、高齢化等により減少するサトウキビ生産の現状を踏まえ、単収向上の取り組みや作業受委託組織の育成などにより持続可能な生産体制を推進し、地域農業生産の振興に資することを目的に、種子島糖業振興会の主催のもと、3年ぶりに開催された。当日は、生産者、新光糖業株式会社、種子屋久農業協同組合および行政関係者など約300名が出席した。
開催に当たり、種子島糖業振興会(中種子町長)田渕川寿広 会長が「種子島の農業を維持していくうえで、サトウキビの安定的な生産は欠かせない。この生産者振興大会の講演や生産者の取り組み紹介により、課題や今後の取り組みを検討し、現場で生産向上に生かしていただきたい」と開会のあいさつを行ったほか、来賓を代表し、鹿児島県議会 松里保廣議員が「サトウキビなくして種子島の維持発展はない。サトウキビの増産に向けて、関係者の皆様と連携を図りながら取り組んでまいりたい」とあいさつを行った。
写真1 田渕川会長の挨拶の模様
1.表彰
まず、平成29年度さとうきび生産改善共励会の団体の部で鹿児島県知事賞を受賞した本村生産組合の表彰が行われた。当生産組合は、平成8年に設立された構成農家数4名の生産組合であり、ハーベスタを地域でも早い時期に導入し、28年産は収穫面積17.91ヘクタール、生産量1,373t、単収7.64t/10aと好成績であった。また、受託作業として、植え付け面積3.7ヘクタール、株揃え面積6.9ヘクタール、収穫面積11.5ヘクタールなど高齢化が進む地域のサトウキビ生産を支えるための受託作業の拡大を通じた地域貢献も高く評価された。
写真2 表彰の模様
2.講演
「種子島におけるさとうきび生産の現状、課題、今後の取り組み」
新光糖業株式会社 森永剛司代表取締役社長による講演では「種子島のサトウキビ栽培面積は減少が続く、危機的状況にある。新光糖業は、面積拡大に向けて、やれることはすべてやっていきたい。具体的には、刈り倒し機の開発支援、ハーベスタのベースカッターの研磨、欠株対応として工場から出る温水を使った一芽苗(注)栽培の確立、優良品種の育苗の供給体制の検討などに取り組むことで、皆さまと種子島のサトウキビ生産を守り、盛り上げて行きたい」と来場者へサトウキビ栽培面積拡大に向けた今後の取り組みが説明された。
(注)サトウキビの芽は各節から成長するが、1節で切断した苗を「一芽苗」、2節で切断した苗を、「二芽苗」と言う。
写真3 森永代表取締役社長による講演
「さとうきび適期管理の重要性とその実践について」
熊毛支庁農政普及課 田代一美 技術主幹兼経営普及係長から、メイチュウ類の防除対策の重要性や高齢化等が進む中で、収穫以外の管理作業の委託体制を整備することが急務であることなどの説明があった。
3.生産者の取り組み事例の紹介
「伊関浜脇地区における集落営農へ向けた取り組み」
杉為昭 西之表市浜脇集落長から、単収向上のため、土作りでは、堆肥2t/10aや焼酎粕を投入し、深耕ロータリーによる天地返しをしてから通常のロータリーをかける取り組みや、植え付けでは通常の1.5倍の密植により欠株を減らす工夫などを行った結果、新植9.2t/10a、株出し(1回目)10t/10aという成績であったとの紹介があった。
「南種子精脱葉の農地集約による直営農場と作業受託の推進」
株式会社南種子精脱葉 日高健次郎代表取締役から、高齢化等により直営農場の栽培面積や受託面積が増加しているとの現状報告のほか、サトウキビの連作障害を避けるため、かんしょとの輪作体系を敷いているとの説明があった。
当生産者振興大会では、講演や生産者の取り組み紹介の後、登壇者と来場者との活発な質疑応答が行われ、終了予定時間を30分超えるほど、今後のサトウキビの生産に向けて熱気あふれる大会となり、最後に、名越修南種子町長が閉会のあいさつを行った。
当機構も、生産農家の方々が安心してサトウキビを作り続けることができるよう、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
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農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:鹿児島事務所)
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