鹿児島純心女子大学にてかんしょでん粉に関する出前講座を開催
最終更新日:2017年12月28日
2018年1月
鹿児島事務所 海老沼 一出
平成29年11月8日(水)、当機構鹿児島事務所は、鹿児島純心女子大学においてかんしょでん粉に関する出前講座を開催した。同講座は、管理栄養士を目指す看護栄養学部健康栄養学科の学生たちに、鹿児島県の特産品であるかんしょでん粉を知ってもらおうと、授業の一環として開講している。平成25年から取り組みを始め、今年で5回目の開講となる。
今回は、石井稔鹿児島事務所長が「日本のでん粉事情」と題し、でん粉の生産と、それを支援する価格調整制度の仕組みについて講演を行った。
石井稔鹿児島事務所長による講演
また、鹿児島県大隅加工技術研究センター参事付の時村金愛氏による講演では、「かんしょでん粉の魅力と利用について −かんしょでん粉ってなに?どう使うの?−」と題して、科学的視点を絡めてかんしょでん粉の性質や用途などについて説明があった。
講演では、でん粉用かんしょの比較的新しい品種である「こなみずき」から造られたでん粉は、他のでん粉と比較してより低温で糊化する性質(低温糊化性)を有し、わらびもちなどのゲル性食品が離水しにくく、硬くなりにくい特徴(耐老化性)を持っている。この性質を生かして、長時間の弾力の維持など、食品への利用が期待されている、といった内容が説明された。
また、一般のかんしょでん粉、ばれいしょでん粉および「こなみずき」でん粉を使ったゲルの展示があり、でん粉の種類による弾力性の違いを実際に見て、触って比べることができた。
時村金愛氏による講演
でん粉の種類による触感の違いを体験
講演後、学生たちは「こなみずき」でん粉を使って、調理実習を行った。
調理実習風景
はじめにかんしょでん粉を使った鹿児島の郷土料理である「落花生豆腐」、「さつまあげ」、「からいもだご汁」を調理した。
「落花生豆腐」は、落花生の豆乳にかんしょでん粉を加え、加熱しながら撹拌し、ゲル状に固めた料理である。
「さつまあげ」は、魚のすり身とでん粉を混ぜ合わせ、小判型に成形して揚げた鹿児島の郷土料理である。
「からいもだご汁」は、茹でてつぶしたさつまいもにでん粉を加えて練り、団子状にしたものを、野菜とともに出し汁で煮た料理である。
これらに加えて、かんしょでん粉と鹿児島県産の黒酢を使ったドレッシングを添えたサラダおよびデザートには牛乳と砂糖にかんしょでん粉を加え、もちもちとしたゼリー状に固めた、フランス冷菓の「ブラマンジェ」を調理した。
調理実習のメニュー
その他、従来のかんしょでん粉と「こなみずき」でん粉の2種類のでん粉を使った「ういろう」および「チーズスナック」の試食が、時村金愛参事付から提供された。
従来のかんしょでん粉を使った「ういろう」は、冷蔵庫で冷やし固めると、羊羹のような食感になるが、「こなみずき」でん粉を使った「ういろう」は、耐老化性が高く弾力を保つため、ぷるぷるとした食感になる。
参加した学生からは、「もちもち」「ぷるぷる」などの食感に関する好印象の感想が多く寄せられたほか、「初めて知る内容が多く、とても勉強になりました」「献立作成等に活用したい」「今度買ってみたいと思った」など、かんしょでん粉の普及および浸透に期待の持てる感想が寄せられた。
当講座では、将来、学校や病院などで、鹿児島の食と健康を担う学生たちに、かんしょでん粉について理解を深め、調理する機会をもってもらうことで、鹿児島県内でのかんしょでん粉の浸透と普及を図ることができた。
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