令和元年度大島本島地区さとうきび生産振興大会及び夏植推進式の開催について
最終更新日:2019年8月27日
鹿児島事務所 石井 稔
7月30日(火)、鹿児島県奄美市の奄美市笠利農村環境改善センターにおいて、「令和元年度大島本島地区さとうきび生産振興大会及び夏植推進式」が開催され、奄美大島の生産者のほか、JA、糖業関係者、行政担当者などが出席した。
始めに、大島本島さとうきび生産対策本部 朝山毅 本部長(奄美市長)からのあいさつが代読され、「平成30年度のさとうきびの生産は、台風19号および24号の被害を受け、前年度よりも6804トン減少し2万2604トンとなった。この台風の被害からの生産回復を図るため、さとうきび増産基金事業を活用して、春植、株出しを対象とした、肥料の一部助成を行ったところであるが、行政の立場として、関係機関との連携を図り、生産量の確保、生産者の経営安定に努めていくこととしたい」と述べられた。
写真1 生産対策本部長の祝辞を代読する奄美市笠利総合支所所長
続いて、大島本島さとうきび生産対策本部 竹田泰典 副本部長(龍郷町長)からの代読として、「平成30年産の製糖実績は度重なる台風の被害を受け、前年産より減少することとなり、生産者の経営安定にとって、厳しい年であった。一方、今年産の春植や株出しの生育は大きな気象災害もなく順調に生育している。引き続き生産対策本部が中心となって、病害虫防除、土づくり、肥培管理の徹底を行い、夏植目標面積112ヘクタールを達成できるよう、関係者とともに取組むこととしたい」と決意表明があった。
写真2 竹田泰典副本部長の祝辞を代読する龍郷町 則副町長
次に、当機構の石垣英司理事が本会開催に当たり、「さとうきびは、奄美大島にとって重要な基幹作物であり、地域経済を支える重要な役割を担っている。機構は、さとうきびの生産が安定的に行われるよう、交付金交付業務の適正な運営に努めてまいりたい。また、交付金の財源となる調整金の収入を安定的に確保し、国民に対して、本制度に対する説明責任を果たし、理解の醸成を図っていきたい」と祝辞を述べた。
この他、本年6月に発見され、7月に南九州市の飼料用トウモロコシの圃場において国内で初めて確認された害虫「ツマジロクサヨトウ」の注意喚起として、「幼虫はトウモロコシやイネなど80種類以上の植物に寄生し、葉や茎等を食害する。奄美群島の基幹作物であるさとうきびも寄主植物に含まれている。早ければ30日程度で成虫となり、一度に100キロメートル程度の飛翔が可能となるため、南西諸島の広範囲でのまん延を懸念しており、適切な防除対策を実施するとともに発見の際は、最寄の鹿児島県振興局もしくは、植物防疫所に連絡してほしい」と呼び掛けた。
写真3 石垣 英司理事による祝辞
さらに、大島支庁農林水産部農政普及課 田中浩人 課長は、祝辞とともに、「奄美群島全体における平成30年度のさとうきび生産は台風24号の影響を受け、倒伏や潮風被害となり前年比82%の33万8000トンとなった。大島本島についても前年比78%となり2万2604トンの厳しい成績となった。奄美本島は、台風の常襲地帯であるうえに、避けることのできない自然災害でもあり、地域が一体となり防風林を設置することや収入保険、農業共済への積極的に加入することで不測の事態に備える対策が重要である。また、生産者が行う栽培管理については、土づくりや病害虫の適期防除、夏場のかん水などの基本技術の励行を行い、気象条件に左右されないさとうきび生産を目指してほしい」と述べた。
大会の中盤では、大島本島における平成30年産さとうきび優秀農家の表彰式が執り行われ、以下の生産者が表彰された。
【生産量の部】
笠利町 榮 完治 氏(生産量:1,317.751トン)
龍郷町 (有)ゆいなす(生産量: 121.945トン)
【単収の部】
笠利町 肥後 忠満 氏(単収:6.88トン/10アール)
龍郷町 振 重弘 氏 (単収:4.41トン/10アール)
次に、現況報告として、富国製糖株式会社 有村成生 代表取締役社長は、「平成30年産のさとうきび生産は、9月の台風24号の影響を受け、生産量は、昨年産よりも6,804トン減少し22,604トン、平均買入糖度はプラス0.83度の14.51度と台風通過後の散水などの対策を行った結果、潮害などの被害を最小限にとどめた。この結果、光合成が十分に作用し、登熟が上昇し平均買入糖度については、良好な成績となった。今年度の作付けについて、生育状況は平年並みであるものの、近年、収穫面積は減少傾向にあるため、バランスの良い作付けにご理解・ご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
写真4 富国製糖蒲L村代表取締役社長
終盤では、「さとうきびで儲ける方法」と題して、鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場の黒木研究専門員の講演が行なわれた。
その中で新植や夏植の植付け作業を行う場合は、培土時にメイチュウ用の粒剤農薬を散布することで欠株防止となる。9月の上旬までに夏植の植付け作業を終了することで、植付け後40〜50日の間に培土が可能となり、その結果、12月までにさとうきびが生育し、冬草が影となり防除作業の省力化となる。また、株出しは、植付け作業をする前に、廃耕にするのか株出しにするのか計画をたてること。株は想像しているより弱く、管理作業が遅いと腐敗を生じる。また、収穫作業の後、速やかに施肥と中耕行う。早期に管理することで、圃場が柔らかくなりハーベスタによる踏圧の課題も払拭され、効率的な管理作業を行うことができると講演した。
最後に、あまみ農業協同組合大島事業本部さとうきび生産部会 土浜 良二会長が本大会のスローガンを朗読し、同事業本部 徳丸善久 総括理事の発声のもと、出席者一同によるガンバロウ三唱をもって、閉会した。
写真5 土浜良二会長によるスローガン朗読
【令和元年度大会スローガン】
一.中耕培土・除草・施肥の肥培管理作業を徹底し生産量回復に努めよう。
一.病害虫の早期発見と早めの防除に努めよう。
一.さとうきび収穫面積600ヘクタール以上の確保により生産量を増やそう。
一.堆肥、緑肥投入による土づくりを行い単収向上を図ろう。
一.地域と共生し、話し合い活動を通じて、さとうきびと農地を守ろう。
一.夏植推進目標面積112ヘクタール達成に向けて努めよう。
当機構としても、さとうきび産業の更なる発展を祈念するとともに、生産者の皆様が安心して生産を続けられるよう、今後も交付金交付業務の適正な運営に努めてまいるとともに、国民への的確な制度周知を行うこととしたい。
写真6 会場入口には、当機構製作の価格調整制度のパネルを展示
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