鹿児島事務所 米元 健太
7月17日(水)、鹿児島市の鹿児島県農業共済会館において、公益社団法人鹿児島県糖業振興協会(以下「糖業振興協会」という。)の主催により令和元年度さとうきび研究成果発表会(以下「発表会」という。)が開催された。
発表会は、毎年、生産技術の向上などを図ることを目的として、県内のさとうきび研究者や各地域の優良生産者などが、研究成果や地域での取組みを発表し、情報を共有する場とされている。 発表会は、今年で第54回を迎え、当日は製糖企業、学識経験者、行政、農業団体など産官学のさとうきび関係者約130名が出席した。
冒頭、糖業振興協会を代表して、鹿児島県農政部特産作物対策監の光村 徹 氏からあいさつがあり、関係者への謝辞を述べた後、「平成30年産は、収穫面積が29年産を下回る9400ヘクタール(前年比96%)となったことに加え、生産量は台風24号等の被害を受け、史上最低から2番目の45万3000トン(同86%)に落ち込んだ。品質については、平均買入糖度は前年産こそ上回ったものの、基準糖度を下回る13.08度にとどまり、生産者および製糖会社にとって非常に厳しい年となった。当協会としては、昨年9月末の台風被害を受けて、さとうきび増産基金を発動し、生産者支援として、次年度に向けた収量確保及び土作りの取組みを実施すると共に、製糖工場支援としては、種子島及び喜界島において製糖設備の機能強化に向けた支援を行っている。一方、明るい話題としては、本年1月の当協会の臨時試験研究会で熊毛地域向けの奨励品種候補として、品種登録出願中の「はるのおうぎ」(KY10-1380)を選定した。この品種は、茎数が多く、萌芽性に優れており、高単収が期待できるほか、根張りも良く、ハーベスタの適性も良好と見込まれる。現在、国の種苗管理センターで増殖中であり、今後の生産性向上に繋がるものとみられ、来月の県の奨励品種選定委員会を開催して、県の奨励品種として選定される予定となっている。令和元年産の生産状況については、現在のところ気象による影響も少なく、期待をしているところだが、当協会としては、さとうきび生産者が安心し意欲をもって生産に取組めるように、関係機関と一体となって取組んでまいりたい」と、直近の生産動向の報告とともに、元年産の豊作に向けた期待を述べた。