第15回全国和菓子甲子園、優勝は安房拓心高校の「食突モ〜進」に決定! 〜今年のテーマは、『日本の酪農』〜
最終更新日:2024年9月5日
広報webマガジン「alic」2024年9月号
全国菓子工業組合連合会青年部は8月21日(水)、大阪市で第15回全国和菓子甲子園の決勝戦を開催し、見事、千葉県立安房拓心高等学校(千葉県)の「食突モ〜進」(しょとつもーしん)が優勝を勝ち取りました!
今回で15回目となる全国和菓子甲子園は、「甲子園」の名の通り、全国の高校生を対象とした「和菓子」のコンクールで、2010年に大阪府生菓子協同組合の大阪府生菓子青年クラブが、和菓子に対する意識向上と文化の発信を兼ね、創作的な和菓子を作り競う大会を目指し、50周年事業として「和菓子甲子園」を開催したのが始まりです
(注)。
(注)詳細は、砂糖類・でん粉情報2023年5月号「日本で唯一の高校生和菓子コンテスト『全国和菓子甲子園』」をご覧ください。
なお、全国和菓子甲子園では、毎回、募集作品に特色のあるテーマが設定され、過去には、「大阪を元気にする大福」、「地産食材を使った夏のスイーツ」、「わがまち自慢の創作和菓子」など、地域や産地を彷彿させるものもありましたが、今年のコンクールでは、『日本の酪農』をテーマに、脱脂粉乳と国産の乳製品を使った作品が募集対象となりました。
ちなみに脱脂粉乳とは、牛乳から脂肪分と水分を取り除き、粉末状にしたもので、スキムミルクとも呼ばれるものです。脱脂粉乳は、バターや生クリームの製造過程において作り出されますが、近年の脱脂粉乳とバターの需給状況を見てみますと、業務用を中心にバターの需要は堅調な一方で、ヨーグルト等の需要減少により脱脂粉乳の需要低迷・在庫増加が課題となっています。
このような状況の中、今回のコンクールでは、洋菓子での利用イメージがある脱脂粉乳や国産乳製品の利用を応募条件に据え、高校生の皆さんの自由で柔軟な発想と想像力を活かし、新しい感性による和菓子の創出を目指すというものです。決勝戦には、北海道から沖縄県まで10校12作品が進出し、優勝作品の安房拓心高等学校(千葉県)の「食突モ〜進」では、『日本の酪農』から牧草に着眼し、乳牛の飼料である牧草ロール(あんこ)と牧草フォーク(サブレ)をイメージした、脱脂粉乳や生クリームなどが練り込まれた作品に仕上げられていました。また、以下の準優勝作品をはじめ、全ての作品で彩り艶やかな、様々な形態の和菓子が作成されるなど、正に「甲子園」の名にふさわしい、ハイレベルな大会であることを実感することができました。
今回の取材を通じ、主催者の方に全国和菓子甲子園に対する想いと次回開催への意気込みについて伺ったところ、「当大会はプロ向けの大会ではなく、あくまで全国の高校生が「和菓子(日本のお菓子)」という1つの日本文化と向き合う中で、未来の良きライバルと出会い、世界へ笑顔を届ける作り手を目指すきっかけとなることを期待して生まれました。さらに、ここ近年は当大会を通じて、今回のテーマ「日本の酪農」のように、バターを作ると副産物で脱脂粉乳が作られ過剰在庫になっているなど、出場者だけでなくこの全国和菓子甲子園に関わる皆さんに対して社会課題の一端を知り行動を起こす問題提起になればと思っております。次回のテーマはまだ決まっておりませんが、出場者、関係者そして我々お菓子屋自体が、菓子作りに対してワクワクするようなテーマを期待していただきたいです。」というお話をいただき、改めてコンクールの意義や有効性を確認することができました。
和菓子は、牛乳・乳製品や砂糖、でん粉に加え、いちごやメロン、すいかなどの果実的野菜(果物のように食べられる野菜)や、さつまいもやかぼちゃ、トマト、にんじんなどといった一般的な野菜も原材料となるなど、さまざまな食材が複雑に絡み合う、芸術的、文化的な食品として、国内外で高く評価されているところです。alicでは、これからも、深化を続ける和菓子、そして全国和菓子甲子園を応援していきたいと思います。読者の皆さまにおかれましても、これから秋から冬を迎え、季節感溢れる和菓子が街を彩ることと存じますが、この機会にぜひ、和菓子の魅力について実感(実食)していただければと思います。
また、今大会で取り上げられた脱脂粉乳は、ヨーグルトのほか、さまざまな食品の原料として利用されておりますが、たんぱく質やカルシウムなどの栄養に恵まれた食材として、料理やスイーツに用いるレシピがさまざまなチャネルで紹介されておりますので、ご家庭におかれましても、この機会にぜひお試しいただき、脱脂粉乳の良さに触れていただければと思います。
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