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今月のやさい:オクラ

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最終更新日:令和7年9月5日
広報webマガジン「alic」2025年9月号
 夏が旬のオクラ、和名の響きがあり、また、しょうゆとよく合い納豆とも合わせて食べることも多いことから、日本に古くからある野菜と思われている方も多いかと思いますが、実は、海外から入ってきた野菜の一つで、一般的に食卓に上るようになったのは昭和になってからです。英名もオクラは「okra」と書かれ、暑さに強いことから熱帯気候などの国では、重要な野菜の一つで、様々な国で栽培されスープやカレーの材料として広く食べられています。

概要

 アフリカ原産で、耐暑性があり、熱帯アジア・中近東・アフリカで多く栽培され、古代エジプトでも栽培されていたとされる歴史の古い野菜の一つです。路肩や公園など身の周りでよく見るタチアオイと同じアオイ科であることから、よく似た大きな花をつけます。
 観賞用として日本に伝わったのは江戸時代末期ですが、全国的な広がりはなく、本格的に栽培が始まったのは昭和30年代になってからです。
 海外の栽培状況を見ると、最も多く栽培している国はインドで715万8千t/年、次いでナイジェリアとなっており、暑い国では重要な野菜の一つであることが分かります。
 
<世界のオクラ>
 広く流通しているものは断面が五稜形のものですが、角のない丸さや型や赤色のものもあります。
 また、山口県長門市では伝統野菜として、あくが少なく生でも食べれる「白オクラ」、秋田県雄勝郡羽後町では地理的表示(GI)保護制度に、「ひばり野オクラ」として登録するなど各地で特産野菜として広がりを見せています。
 
<様々なオクラ>
 

生産と流通

 昭和30年代から広まったオクラの生産は、ここ数年は若干の減少を見せているものの増加傾向で推移した数少ない野菜の一つです。
 令和4年産の作付面積は約822ha、収穫量は1万1100tとなっています。2016年をピークにやや生産はやや減少傾向となっています。県別の収穫量で見ると、鹿児島県が第1位、次いで高知県、沖縄県、福岡県と続きます。上位4県で全体の約8割の収穫量を占めています。
 
資料:農林水産省「地域特産野菜生産状況調査」
資料:農林水産省「地域特産野菜生産状況調査」
 月別に東京都中央卸売市場および大阪中央卸売市場の県別入荷量を見ると、旬の夏に向けて6月から入荷量が増え、8月をピークに減少する季節性が高い野菜の一つであることが分かります。国内の産地の入荷が少なくなる冬季は、タイ、フィリピンなどからの輸入物が出回り、一年を通して店頭で見ることができます。

 
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:東京都中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報

輸入状況

 オクラは、端境期になる冬季を中心に輸入されています。以前は、冷凍の形態でも多く入っていたのですが、近年はほとんど生鮮の形態で入ってきます。生鮮の輸入先は、タイとフィリピンが2大輸入先でこの両国がほぼ独占しています。冷凍の輸入先は、主に中国とタイとなっています。
 輸入量は、2020年以降大きく減少しており、直近の2024年は横ばいとなりました。
 
資料:農林水産省「植物防疫所 植物検疫統計」

栄養

<緑色のネットで売られるオクラ>

 緑黄色野菜のオクラは、カロテンやビタミンE、そしてマグネシウムや亜鉛、銅などの無機質など豊富な栄養を含みます。また、オクラの独特なぬめり成分は、ガラクタン、ペクチンなどの水溶性食物繊維で、整腸作用があり便秘予防のほか、血糖値を抑える効果、悪玉コレステロールの吸収を妨げるといった働きが期待されます。高血圧予防によいとされるカリウム、エネルギーの代謝を助けるビオチンなども比較的多く含んでおり、栄養豊富な食材の一つです。
 
 オクラの表面を覆っているうぶ毛は鮮度の目安になり、びっしりときれいに覆われているものは新鮮な証拠です。
 緑のネットでオクラは売られていることが多いですが、これは風通しを良くすることで、呼吸量の多いオクラの蒸れなどを防止し、鮮度を保つためのものです。ネットのまま流水で軽くこすれば、塩もみする必要がなくすぐに調理に使えますので、ぜひ試してみてください!
 

◆オクラの世界をもっと知りたい方はこちらへ 
野菜情報 2025年9月号 今月の野菜
野菜情報 2025年9月号 産地紹介

料理
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