日本甘蔗糖技術者会議(JSSCT)第12回講演会の開催について
最終更新日:2017年9月27日
2017年8月
8月22日(火)に那覇市の沖縄県教職員共済会館八汐荘において、日本甘蔗糖技術者会議(JSSCT)の第12回講演会が開催された。
同講演会は、サトウキビ研究および技術開発の加速を目的に、研究者のみならず、幅広いサトウキビ関係者の参集のもと、毎年開催されているものである。12回目を迎える今年の講演会には、糖業関係者、学識経験者、行政関係者など約60名が参加し、4組の講演者から研究成果が発表された。
本講演会の発表内容は下記のとおりである。
1)サトウキビ品種利用の実態−アンケート結果を中心に−
琉球大学・鹿児島大学大学院 寳川拓生氏 他
サトウキビ収穫量の低下に着目し、サトウキビの複数品種の利用や一圃場内での混植といった品種の利用実態に関する調査結果について発表が行われた。
2)ケブカアカチャコガネの交信かく乱剤開発と設置方法の検討
沖縄県農業研究センター 嘉数若子氏 他
宮古島・伊良部島のサトウキビ圃場に発生し、根茎を食害する害虫ケブカアカチャコガネの交信かく乱剤を用いた防除処理方法の簡素化や低コスト化の検討結果について発表が行われた。
3)作物モデルAPSIMを用いた石垣島のサトウキビ栽培における収穫量およびNO3−N溶脱量の推定
国際農林水産業研究センター 岡本健氏 他
作物モデルを利用して石垣島で実施された試験栽培及び硝酸態窒素(NO3−N)溶脱量の測定結果との比較を行ない、窒素吸収量及び収穫量の推定の有意性について発表が行われた。
(*)APSIM・・・気象・土壌・営農管理等の環境要因を作物の生育プロセスに反映させ、作物生育、水・窒素利用及び土壌内での物質収支を予測するもの。
4)サトウキビの仮茎長をミリ単位、1時間単位で自動測定する
鹿児島県農業開発総合センター 佐藤光徳氏 他
生育ステージや生理的ストレス等で茎伸長速度が増減するサトウキビの仮茎長測定の労力低減のため、デジタルノギスを微速度撮影してサトウキビの仮茎長を自動測定する方法についての紹介が行われた。
研究発表の様子1
研究発表の様子2
最後に、JSSCTの副会長である琉球大学農学部の川満芳信教授から、次年度以降も講演会をはじめとした活動を継続し、サトウキビの生産に寄与していくこと、次年度に沖縄県で開催される国際甘蔗糖技術者会議(ISSCT)のワークショップや、2020年度にアルゼンチンで開催されるISSCT世界大会等で、沖縄県のサトウキビの生産技術を積極的に発信していこうとの挨拶があり、閉会した。
発表後の質疑応答においても、参加者からは検証方法に関する質問や実用化に向けた意見等が活発に出された。今回の成果が実際に生産現場で活かされ、研究者達の努力が報われることを願っている。
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