平成29年度第2回地域情報交換会を開催
最終更新日:2018年3月12日
平成30年3月
札幌事務所 黒澤 和寛
当事務所は、機構が実施する情報収集提供業務について北海道の関係者から地域の意見や情報ニーズを把握するとともに、関係者に対して情報提供を行うことを目的として、地域情報交換会を実施している。
今年度2回目となる地域情報交換会は、2月7日(水)に札幌市において、でん粉の需給状況について、講師をお招きして講演を行った。
また、当事務所から、機構の情報収集提供業務及びでん粉の価格調整制度について説明を行うとともに、当機構調査情報部から国内産いもでん粉の需要拡大の可能性についての報告を行った。
当日は、でん粉製造者、農業関係団体、行政・試験研究機関等から24名の参加があった。 以下、その概要を報告する。
1. 当機構が実施する業務の概要説明
当事務所平石所長より、(1)でん粉の価格調整制度、(2)平成29年度の情報収集提供業務の重点テーマ及び情報誌の掲載実績について説明を行った。
会場の様子
2.講演及び報告
(1)講演「でん粉の需給状況と実需者が求めるニーズ」
でん粉の需給状況に関する理解を深めていただくため、全国農業協同組合連合会麦類農産部札幌麦類農産事業所の濱本義隆所長をお招きした。
講演では、北海道でつくられているばれいしょでん粉の特徴として、他のでん粉と比較して糊状になる温度が低く粘り気が強いことなどの特有の性質の紹介や、食品に化工でん粉を使用する場合、添加物として表示する必要があることから、他のでん粉への置き換えが比較的困難であるため、その安定供給が一層求められるようになっているとの説明が行われた。
その上で、ばれいしょでん粉ユーザーからは、量と品質・価格面での供給の安定に加えて、アレルゲンや残留農薬などの管理、製造日に基づく出庫管理(先入れ先出し)、製造工程管理に関する国際認証(ISO等)の取得などのフードディフェンス対応及びフレキシブルコンテナ(フレコン)や小量目袋への対応が求められていることを紹介した。
そして、平成28年産ばれいしょの不作をきっかけとして、平成29年度も引き続きばれいしょでん粉の需給が逼迫すると見込まれている中で、でん粉の各種用途において、各々における北海道産ばれいしょでん粉の必要性を勘案しながら、販売の制限をせざるを得ない状況となっていることを紹介した。
講演を行う全農濱本氏
(2)報告「国内産いもでん粉の需要拡大の可能性 〜菓子輸出、グルテンフリーを事例に〜」
当機構調査情報部の坂上が、でん粉を使用した菓子の輸出とグルテンフリー(注)の観点から、でん粉の需要拡大の可能性について報告を行った。
菓子輸出については、ばれいしょでん粉を使用したボーロを香港や中国本土、米国に輸出にしている事例や、副原料にばれいしょでん粉を使用したおかきの輸出事例などが紹介された。特にアジアや米国で好まれる米菓は、軽い歯応えのものが中心であることから、食感の改良を目的としてでん粉の需要拡大が期待されると報告した。
グルテンフリーについても、小麦粉の代替品として、米粉などが使用されている中で、小麦粉製品に近い食感等を出す副原料としてでん粉が使用されており、グルテンフリー市場が拡大していけば、でん粉の新たな需要創出につながることが報告された。
注:もともと小麦アレルギーやセリアック病(小麦や大麦に含まれるグルテンに対する過敏症を主な症状として生ずる自己免疫疾患)の患者向けの食事療法として欧米で始まったもの。
報告を行う当機構調査情報部の坂上
3. 参加者アンケートの結果
参加者に対してアンケート調査を実施し、22名から回答を得た。その集計結果は以下のとおりである。
地域情報交換会の内容について尋ねたところ、「充実していた」が95%であった。「講演は非常に分かりやすく勉強になった」、「輸出の事例が興味深かった」などといった感想が寄せられた。
今後の同様の会議への参加意向については、「参加したい」が86%、「どちらでもない」が14%であった。
今後、ばれいしょ及びでん粉に関して情報誌等で取り上げて欲しいテーマについては、「国内の消費動向」(回答数:11)、「国内の農業政策に関すること」(回答数:9)「海外の農業政策に関すること」(回答数:9)といった結果であった。
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農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:札幌事務所)
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