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平成30年度第2回地域情報交換会を開催

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最終更新日:2019年2月28日

札幌事務所  黒澤 和寛  

 当事務所は、機構が実施する情報収集提供業務について北海道の関係者から地域の意見や情報ニーズを把握するとともに、関係者に対して情報提供を行うことを目的として、地域情報交換会を実施している。
 今年度2回目となる地域情報交換会は、2月8日(金)に札幌市において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の特性について、講師をお招きして講演を行った。
 また、当事務所から、機構の情報収集提供業務及びでん粉の価格調整制度について説明を行うとともに、当機構調査情報部からEUにおけるでん粉産業についての報告を行った。
 当日は、でん粉製造者、農業関係団体、行政・試験研究機関等から34名の参加があった。
 以下、その概要を報告する。

1. 当機構が実施する業務の概要説明
 当事務所小峯所長より、(1)でん粉の価格調整制度、(2)平成30年度の情報収集提供業務の重点テーマ及び情報誌の掲載実績について説明を行った。

会場の様子
会場の様子

2.講演及び報告
 (1)講演「ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の特性について」  
 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の特性に関する理解を深めていただくため、(地独)北海道立総合研究機構北見農業試験場の青山聡研究主査をお招きした。  
 講演では、ジャガイモシストセンチュウは、ばれいしょの根に寄生して生育を阻害し、収量が半減するおそれもある土壌病害虫であり、平成28年時点において、道内1万ヘクタール余りの圃場で発生していること、ばれいしょの作付品種をみても、ジャガイモシストセンチュウの抵抗性がない品種の作付が過半を占めていることが紹介された。
 でん粉原料用ばれいしょについては、道内ばれいしょ作付面積の3割を占めているが、平成28年時点において、ジャガイモシストセンチュウに抵抗性がない品種(コナフブキ)の作付が大半を占めており、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の作付は2割に留まっていることが紹介された。
 その上で、北海道においては、平成34年にでん粉原料用ばれいしょのジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の普及100%を目指しており、道内関係機関が選抜したコナユタカ、コナヒメ、パールスターチの特性について、それぞれ紹介があった。
 品種紹介では、収量、収穫時期、でん粉品質などの観点から、でん粉原料用ばれいしょとして多く作付けされているコナフブキとの比較を行いながら、各品種の特性について紹介があり、各品種の特性をよく理解した上で、各地域の実情にあった品種を採用することの重要性についての示唆があった。

講演を行う北見農業試験場の青山氏
講演を行う北見農業試験場の青山氏

(2)報告「EUにおけるでん粉産業 〜フランスを中心として〜 」
 当機構調査情報部の岡が、昨年12月に行ったフランスを中心としたEUにおけるでん粉産業の概要について報告を行った。
 EUでは、トウモロコシ、小麦、ばれいしょを原料にでん粉が製造されており、生産量はコーンスターチが最も多く、小麦でん粉、ばれいしょでん粉と続き、でん粉全体の生産量は、安定的に推移している。でん粉の加工形態としては、糖化製品が最も多く、食品や飲料に用いられている。また、でん粉の仕向先としては、食用が6割を占めるものの、非食用向けのうちユニークな利用法として、生分解性のゴルフボールや包装材への活用なども紹介された。  
 フランスでは、北部にある4社の工場ででん粉生産が行われている。でん粉生産量は、小麦、コーンスターチ、ばれいしょでん粉の順に多く、一部、豆類でん粉も生産されている。なお、フランスを始めEUで発生した2018年の干ばつの影響は、国によって被害状況が異なることから、今後も注視する必要があるとのことである。

報告を行う当機構調査情報部の岡
報告を行う当機構調査情報部の岡

3. 参加者アンケートの結果
 参加者に対してアンケート調査を実施し、24名から回答を得た。その集計結果は以下のとおりである。

 地域情報交換会の内容について尋ねたところ、「充実していた」が75%であった。「食用や加工用ばれいしょの抵抗性品種についても興味がある」、「海外情勢について大変興味深かった」などといった感想が寄せられた。
 今後の同様の会議への参加意向については、「参加したい」が7割、「どちらでもない」が3割であった。
 今後、ばれいしょ及びでん粉に関して情報誌等で取り上げて欲しいテーマについては、「国内の消費動向」(回答数:13)、「国内の農業政策に関すること」(回答数:9)といった結果であった。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:札幌事務所)
Tel:011-221-0786