令和元年産てん菜の生育状況について
最終更新日:2019年6月28日
2019年6月
札幌事務所 小島 康斉
当事務所は、6月12日、13日の両日、(一社)北海道てん菜協会が実施する「てん菜生育状況現地調査」に同行し、令和元年産の十勝地域及びオホーツク地域のてん菜の生育状況について調査する機会を得た。
同調査及び北海道農政部生産振興局技術普及課(以下「道技術普及課」という。)による6月19日発表の情報を踏まえ、令和元年産てん菜の生育状況について以下のとおり報告する。
1. 令和元年産てん菜の作付面積の動向
現地製糖企業の農務担当者への聞き取りによると、今年産の十勝地方及びオホーツク地方の作付面積は、生産者の高齢化や離農に伴う農業者人口の減少により、一部生産者の間では経営規模拡大が進んでいるものの、全体的には昨年度と比べ、減少するものと見込まれている。
加えて、北海道に発達した低気圧が接近した影響から、5月19日から21日にかけて道内各地で強風に見舞われ、オホーツク地域の小清水町では最大瞬間風速が統計を開始してから最大となる28.6m/sを記録するなど、てん菜をはじめとした道内農作物に被害が発生した。
具体的には、強風が圃場を直撃したことで、種子飛散や小葉の損傷による消失や枯れ上がりなどの被害が広範囲で発生した。その後、被害圃場においては種子の播き直しや再移植が行われたが、一部地域においては、他作物への転換が見受けられたことから、作付面積はさらに減少すると推測され、今後の生育状況等については経過観察を行っている状況である。
2. 十勝地域の生育状況
春先は例年に比べ雪解けが早く、4月上旬の降水量は平年を上回ったものの、4月中旬から5月中旬にかけては降水量も少なく、温暖な気候で推移した。
このため、道技術普及課の情報によると、植え付け作業は順調に進み、移植終了は5月8日で平年より3日早かった。6月15日現在のてん菜の生育状況は平年に比べ4日早く推移している。
現地製糖企業の農務担当者への聞き取りによると、4月〜6月を通して気温が高めで推移し、微量ではあるが周期的な降雨があったため、移植・直播ともに生育は順調に推移しているとのことであった。
また、近年では移植機の改良により作業効率が上がっていることから、移植終了が早い傾向にあることのことであり、農業機械等の技術の改良も進歩していることが伺えた。
直播圃場(4/23播種)
移植圃場(5/1定植)
強風被害を受けた圃場(十勝管内)
3. オホーツク地域の生育状況
十勝地域と同様に、春先は例年に比べ雪解けが早く、4月上旬から5月中旬にかけては降水量が少なく、温暖な気候で推移した。
このため、道技術普及課の情報によると、植え付け作業は順調に進み、移植終了は5月11日で平年より6日早かった。6月15日現在のてん菜の生育状況は平年に比べ5日早く推移している。
現地製糖企業の農務担当者への聞き取りによると、今年は天候に恵まれたことから、移植終了は例年より早かった昨年をさらに上回り、順調な滑り出しだと思われたが、5月19日から21日にかけての強風により圃場間での被害格差や生育格差が生じているとのことであった。
なお、オホーツク地域全体では、4月〜6月を通して気温が高めで推移したため、移植・直播ともに昨年を上回る生育状況であり、極めて順調に推移しているとのことであった。
直播圃場(4/24播種)
移植圃場(4/24定植)
強風被害を受けた圃場(オホーツク管内) ※被害直後撮影(5月現在) 写真提供:北海道オホーツク総合振興局農務課
帯広市(十勝地域)及び網走市(オホーツク地域)の令和元年気象状況
資料:気象庁 注:平年値は1981-2010年の30年間の平年値
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