でん粉 でん粉分野の各種業務の情報、情報誌「でん粉情報」の記事、統計資料など

ホーム > でん粉 > 生産現場の優良事例など > 新制度における交付金の開始に当たって生産地での取組

新制度における交付金の開始に当たって生産地での取組

印刷ページ

最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報


【新制度の実施にあたって】

鹿児島県農政部 農産園芸課長 輕部 稔



1 鹿児島県の農業の位置付け

(1)位置

 本県は、我が国の西南部、九州の南端に位置し、東西約270km、南北600kmに広がり、総面積9,187緕「で薩摩・大隅二大半島からなる県本土と甑島、種子島、屋久島、トカラ列島、奄美群島など200有余の島々からなっています。


(2)本県農業の地位

 本県の農業産出額は、平成17年実績で4,168億円であり、作目別農業産出額では、肉用牛が778億円(18.7%)で第1位、豚が755億円(構成比18.1%)で第2位、ブロイラーが424億円(10.2%)で第3位、米が253億円(6.1%)で第4位、さつまいもは196億円(4.7%)で第7位となっています。


作目別農業産出額の上位作目(H17年産)

順位

農作物名

産出額

構成比

1

肉用牛

778

18.7

2

755

18.1

3

ブロイラー

424

10.2

4

253

6.1

5

茶(生葉)

217

5.2

6

鶏卵

212

5.1

7

さつまいも

196

4.7

8

さとうきび

103

2.5

(単位:億円・%)


2 さつまいもの生産状況

 本県のさつまいもは、全国のさつまいも生産量の約40%を占めています。

 また、でん粉原料用、焼酎原料用、食品加工用、青果用などとして普通畑の約20%に作付けされ、畑作地帯における輪作体系や防災営農上重要な作物です。

 近年、農家の高齢化や機械化の遅れなどにより作付面積は減少していきましたが、焼酎原料用の需要増により、平成16年産以降増加に転じています。


さつまいも生産の推移


3 さつまいもの用途別取組方針

 県では、用途別の需要に応じた計画生産を推進するために、産地活性化計画を策定しています。


(1)でん粉原料用

 生産コストを低減するため農地流動化や遊休農地の活用などによる経営規模の拡大、農作業受委託などの組織化の推進や機械化、高でん粉多収品種や増収技術などの普及を推進します。


(2)焼酎原料用

 需要に応じた原料の安定供給を図るため、契約栽培・契約取引の徹底を推進するとともに、優良系統の普及や機械化、増収技術などの開発・普及を推進します。


(3)青果用

 苗生産技術の向上や水平植えの普及などによる栽培技術の高位平準化、優良品種の普及や貯蔵技術の向上などによる付加価値の向上に努めるとともに、植付機や収穫機の導入など機械化一貫体系の確立による低コスト化を推進します。


(4)食品加工用

 契約栽培による高品質原料の安定供給を推進するとともに、アンテナショップなどを活用した加工品の消費拡大・販売促進、既存加工品の品質向上や大型消費につながる新規食品の開発研究を進め、更なる需要拡大に努めます。


4 品目別経営安定対策の取組

 新たな制度への円滑な移行を図るため、これまで関係機関・団体と連携して、制度の周知を図りながら、生産農家の実態把握を行ってきましたが、経営規模の小さな農家が多いことや農作業受託組織が少ないため、支援対象のうち39%の農家が担い手育成組織(15組織)の構成員として、特例要件を活用する予定です。


品目別経営安定対策要件審査申請状況

対象要件区分

割合

認定農業者、特定農業団体又はこれと同様の要件を満たす組織

7.9%

一定の作業規模を有する者

49.1%

共同利用組織の構成員

要件を満たす生産者・組織等に基幹作業を委託している者

3.7%

特例を活用する担い手育成組織の参加者

39.4%

合 計

100.0%

(農畜産業振興機構調べ)


5 農作業受委託体制の実態

 平成19年7月に実施した実態調査では、農作業を受託している組織は、さとうきび204組織に対し、わずか17組織しかない状況です。


さつまいもにおける農作業受委託体制の実態調査結果

作業受託等組織のタイプ

組織数

農作業受託組織

1

協業組織

1

共同利用組織

7

サービス事業体
(JA、管理センター、農業公社、でん粉工場等)

7

作業調整機関(農業公社)

1

合  計

17

(農産園芸課調べ)


6 今後の取組

 3年後、より効率的な生産体制を確立し、できるだけ多くの農家が対象要件を満たすためには、認定農業者の育成や規模拡大を進めるとともに、特例要件を活用する農家が作業委託できる体制整備が急務です。

このため、県では関係機関・団体を対象にした担い手育成研修会を開催し、作業調整機関を中心とした農作業受託体制づくり等育成すべき方向を示すなど、地域での迅速な取組を呼びかけているところです。

 今後、各地域で設立されている「担い手育成組織」が中心となり、各市町村担い手育成協議会などと連携し、各地域において、アンケート調査の実施などにより、作業の需給状況、受託組織等の実態把握などを行い、地域に適した組織育成の方向を検討し、1日でも早く実践活動が展開されることを期待しています。県としても、関係者と連携しながら、地域の取組を支援することとしています。