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品目別経営安定対策における担い手育成の取組について

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2008年11月]

【生産地から】

鹿児島県農政部農産園芸課


1 はじめに

 平成19年度から、でん粉原料用さつまいも政策が見直され、でん粉原料用いも交付金の対象生産者になるためには、一定の要件を満たすことが必要になるとともに、受託組織等が存在しない地域について3年間に限って、特例(表1のB-5)が設けられました。
  今後とも、でん粉原料用さつまいもを安定的に生産するためには、特例期間終了後も、できるだけ多くの生産者が交付対象となるよう担い手育成に取り組む必要があります。


2 現状と課題

 本県では、平成19年度は、約40%の生産者が特例要件対象者となっており(表1)、特例期間終了までに本則要件を満たす農家を育成し、できるだけ多くの生産者が交付対象となるよう支援することが急務となっています。
  しかし、現実的には、①周知は行っているものの、生産者の危機感が伝わってこない。また、制度を理解していない生産者がみられる。②現在は、生産者自らが機械を持ち、自己完結型で作業をしており、作業受委託体制ができていない。作業委託を行うと作業料金という新たなコストが発生し、所得が減少してしまう。③小さいほ場が多いことやコスト面などから、新たな機械の導入は厳しい。また、条件の悪いほ場は、作業受託者や借り手がいない。-などの課題を抱えています。


表1 19年度対象要件区分別生産者数
注: 要件区分はそれぞれ次のとおりである。
B-1: 認定農業者、特定農業団体又はこれと同様の要件を満たす組織
B-2: 収穫面積の合計が0.5ha 以上である生産者(法人を含む)、収穫面積の合計が3.5ha 以上である協業組織
B-3: 収穫作業面積の合計が3.5ha 以上である共同利用組織の構成員
B-4: B-1、B-2の生産者又は収穫作業面積の合計が3.5ha以上である受託組織・サービス事業体に基幹作業を委託している者
B-5: 知事の申し出に基づき受託組織等が存在しない地域として指定された地域で、でん粉原料用かんしょ生産農家の2分の1以上が参加して組織される担い手育成組織の構成員

3 これまでの取組

 これまで、各地域の担い手育成組織を中心にさつまいも・でん粉対策協議会や各市町担い手育成協議会などと連携しながら、①認定農業者の育成(経営改善計画の作成支援、農家のリストアップなど)、②一定規模以上の生産者の育成(農地集積等による規模拡大の推進など)、③共同利用組織や受託組織の育成(農業機械の導入支援、オペレーターの育成など)、④農作業受委託体制の整備(モデル地区で受託組織の育成、作業調整機関の活用など)-に取り組んできました。
  具体的には、県段階では、①農作業受委託体制実態調査(表2)や②担い手育成研修会、③担当者会、④農林水産省との意見交換会、⑤プロジェクトチーム会、⑥進捗状況調査などを実施してきました。
  地域段階では、①制度の周知徹底(制度説明会や集落座談会など)、②地域の実態把握(アンケート調査など)、③育成方向の検討や担い手育成目標の作成(3年後および将来に向けた具体的な体制づくり)、④目標達成に向けた実践(各地域における農作業受委託体制等の確立に向けた作業調整機関や作業班の設立支援など)を実施しています。


表2 農作業受委託体制実態調査結果
資料:鹿児島県
注:平成19年7月時点

4 地域の取組事例

 県内A地域のAでん粉工場では、出荷契約を結んでいる生産者に対して、地区別座談会やアンケート調査を重ね、制度の周知徹底を図るとともに、本則要件に引き上げるための対策について検討しています。
  その結果、生産者一人一人について、特例期間終了後、具体的にどの要件に引き上げるのか、どの基幹作業を委託するのか、受託者は決まっているかなどを明確にするとともに、地区ごとに基幹作業別の委託予定面積と受託予定面積を集計し、受託が間に合わない地区は、他地区に協力をもらうよう調整するなどの体制を整えています。
  このような取組を他地域にも波及させていく必要があります。


5 今後の取組

 今後も引き続き、認定農業者や一定規模以上の生産農家を育成するとともに、それぞれの地域にあった農作業受委託体制の確立や個々の農作業受委託を調整する調整機関の設立などを推進していく必要があります。
  そのためにも、県段階では、具体的な組織育成の状況や、特例要件活用農家対策に係る各地域の取組状況の進行管理などを行いながら、地域段階では、各市町担い手育成協議会などと連携し、地域の実情に応じた具体的な方策を検討・実践することとしています。
  また、次期対策の見直しに向けて、対象要件の検討など、課題を整理しながら、国などに要請することとしています。


6 最後に

 平成22年度以降、スムーズに本則要件へ移行するためには、限られた期間内で、各地域の実状に応じた体制づくりを進める必要があり、各地域ともに早急に具体的な実践活動を行う必要があります。
  県としても、これらの取組に対して、関係機関・団体と一体となって支援を行い、本県の畑作地帯の重要な品目であるでん粉原料用さつまいもの安定生産に努めることとします。