ルーマニア、初のアフリカ豚コレラ発生を報告
ルーマニア政府は7月31日、国内で初めてアフリカ豚コレラ(ASF)が確認されたことを国際獣疫事務局(OIE)に届け出た。今回の発生は、ルーマニア政府が2016年11月、感染を防止するため、飼養する豚への残飯の給餌を禁止するなどASF対策を強化していた最中のことであり、近隣諸国はさらなる拡大に対して警戒を強めている。
ルーマニア獣医当局によると、7月27日に同国北部のサトゥ・マレ県にて、庭先で飼養されていた豚4頭のうち1頭(残り3頭は衛生上の理由で処分)からASFウイルスの検出が確認された。感染源は分かっていない。ASFは、豚やいのししに感染し、発熱や全身の出血性病変を特徴とする致死率の高い伝染病である。
今回の発生は、昨年9月のモルドバ、先月のチェコに続く感染国の拡大となった。既に発生していたポーランド、ウクライナなどでも本年6月に再発し、チェコでも今年6月の初発後、野生いのしし62頭で感染が確認されている。現地では、ASFがドイツやデンマークといった未発生の主要豚肉生産国へ広がる可能性についての懸念が報じられている。
欧州委員会は、ASFウイルスを媒介するとされる野生いのししや、豚肉加工製品や自動車などの「人的要因」に対して、適切に対応する必要があるとした。また、被害農家の損失補てんのための追加予算措置が検討されていることも報じられている。
ポーランドは先月、EUがASFの再発を繰り返すウクライナやベラルーシといった周辺非加盟国の再発防止を支援しない限り、EU域内で行われる各種ASF対策は無駄になってしまう可能性があると警告している。
欧州地域におけるASFをめぐる今後の動向は、予断を許さない状況である。なお、ルーマニアは2016年に34万トン(枝肉重量ベース)の豚肉を生産し、うち3万トン(製品重量ベース)を輸出している。同国産豚肉は主に中国やEU域内に輸出されており、日本は過去5年間、輸入実績はない。
【大内田 一弘 平成29年8月3日発】
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