ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 牛肉冷蔵品輸入量、22カ月連続で前年同月を上回る
平成30年8月の牛肉需給を見ると、生産量は2万5781トン(前年同月比0.1%増)と11カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、乳用種が7578トン(同4.2%減)と前年同月をやや下回ったものの、和牛が1万922トン(同1.4%増)と12カ月連続で、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率が上昇していたことにより6958トン(同3.3%増)と26カ月連続で、いずれも前年同月を上回った。
輸入量は、5万7729トン(同23.2%増)と前年同月を大幅に上回った。このうち、冷蔵品が22カ月連続で前年同月を上回る2万6255トン(同3.1%増)となった。冷凍品は3万1417トン(同47.1%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は、前年同月をかなりの程度上回る7万5608トン(同7.9%増)となり、推定期末在庫は前月から7636トン積み増し、12万3281トン(同6.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
牛肉購入単価、6カ月連続で前年同月を下回る
総務省「家計調査報告」によると、平成30年8月の全国1人当たりの牛肉購入数量は、猛暑のためか、バーベキュー用商材が不調となったとの声も聞かれる中、198グラム(前年同月比3.8%減)、支出金額は629円(同5.0%減)といずれも前年同月を下回った(図1)。購入数量は今年に入り、5月、8月を除き前年同月を上回って推移するなど好調に推移している。購入単価は6カ月連続で前年同月を下回って推移していることから、国産品と比較して安価な輸入冷蔵品の購入量が増加しているとみられる。
また、当機構が実施した「食肉販売動向調査結果(以下「調査結果」という)」(注1)によると、小売業者における30年度下半期の牛肉販売見通しとして、輸入牛肉は消費者の低価格志向もあり、前年同期と比較して約6割の小売業者が増加すると回答しており、輸入牛肉の販促を強める動きが見られる。
食肉一次加工品の取扱、卸売業者、小売業者ともに増加見通し
近年、国内生産量は回復傾向となっているものの、牛肉の輸入量は、肉ブームの高まりなどもあり、増加傾向で推移している(図2)。
平成30年8月の輸入量を国別に見ると、米国産は、冷蔵品が1万3351トン(前年同月比2.5%減)と前年同月を下回った。冷凍品は昨年が牛肉の関税の緊急措置の影響で輸入量が減少していたこともあり、1万1417トン(同約2.7倍)と大幅に増加し、合計では2万4768トン(同37.6%増)となった。また、豪州産は、現地の干ばつにより雌牛のと畜頭数の増加などが見られる中で、冷蔵品が1万1496トン(同6.4%増)、冷凍品が1万5397トン(同2.6%増)といずれも増加し、合計では2万6951トン(同4.3%増)となった。
「調査結果」では、食肉の一次加工品(注2)の取扱状況において卸売業者、小売業者ともに主に輸入牛肉を使用していると回答する者が多かった。また、平成30年度下半期の食肉一次加工品の取扱見通しとして、卸売業者では「販売先が人手不足のため」、小売業者では「消費者の時短・簡便志向の高まり」という理由から一次加工品の需要が増加するとの回答が多く、卸売業者、小売業者ともに増加の見通しとなっている。
このような需要を反映し、牛肉の輸入量は引き続き増加するとの声が多い。
注1:「食肉売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。なお、本アンケート調査の全文は当機構ホームページに掲載している。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html)
2:「食肉の一次加工品」とは、味付け肉、衣付け肉、ハンバーグのタネなどの非加熱の付加価値商品を指す。なお唐揚げ・ステーキ用などのカットのみの食肉、食肉惣菜、内臓品は除く。
(畜産需給部 小林 智也)