鶏卵相場、低水準も上げ基調
平成30年9月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり184円(前年同月比10円安)となった(図11)。
同価格は例年、8月頃に底を迎え、気温の低下に比例し上昇して推移するが、30年度は、近年の高値を受けた生産者の増産体勢などを背景に4月以降大幅に下落し、5月に底を向かえた後、それ以降、相場が大きく下がることなく夏場の不需要期を脱した。
30年8月は、全国的な猛暑により、西日本を中心に卵重の低下が顕著となり、その結果、M玉の引き合いが強まったことも、さらなる価格低落に至らなかった原因のひとつと考えられる。9月に入ったことで、気温が下がり、コンビニエンスストアからのおでんの需要による引き合いが高まるなど、堅調な需要が続いているため、低水準ではあるが同価格は上げ基調の展開になっている。
今後の需給動向について、供給面は、今年春から初夏にかけてひなえ付け羽数が好調に推移したことに加え、気温低下に伴う卵重・産卵率の回復など、産卵に適した時期を迎え生産量は堅調に推移すると見込まれる。一方、需要面では、おでんなどの季節商材の需要が高まり、さらに年末の最需要期を迎えるため、量販店、加工・業務筋からの堅調な引き合いが継続するとみられる。
こうしたことから、今後の鶏卵相場は、引き続き上昇基調で推移するとの見方が強い。
鶏卵価格差補塡事業、9月の発動なし
卵価が上昇基調で推移する中、一般社団法人日本養鶏協会は10月1日、鶏卵生産者経営安定対策事業のうち、鶏卵価格差補塡事業
(注)に係る9月の補塡は発生しないことを発表した。これにより、30年4月以降5カ月連続で発動していた同事業の発動が終了した。
注:当該月の標準取引価格が補塡基準価格を下回った場合、その差額の9割を生産者に補塡するもの。
(畜産需給部 岩井 椿)