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海外の需給動向【豚肉/米国】  畜産の情報 2018年11月号

増産および低価格により、輸出は堅調

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肥育豚頭数は今後も増加見込み
 

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年9月27日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、9月1日時点の豚総飼養頭数は、飼料穀物価格が比較的安定していることや国内外からの堅調な需要などにより、前年同月比3.0%増の7548万6000頭と4年連続で過去最高を更新した(表4)。この内訳を見ると、繁殖豚は同3.5%増の633万頭、肥育豚は同2.9%増の6915万6000頭となった。
 また、6〜8月の産子数は、前年同期比3.3%増の3415万9000頭となった。さらに、9〜11月の分娩母豚頭数が同1.5%増と予測されていることから、肥育豚の供給は、少なくとも来年の春先までは順調に推移すると見込まれている。
 
表4 豚飼養頭数の推移
 
 

増産により豚肉卸売価格は安値で推移
 

 USDA/NASSが2018年9月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、8月の豚と畜頭数は、飼養頭数の増加に加え、豚肉需要が堅調なことなどから、前年同月比4.6%増の1115万6000頭となった。1頭当たりの枝肉重量は、前年同月並みの94.3キログラムとなった。この結果、同月の豚肉生産量は、同4.8%増の105万1000トンと2カ月連続で前年同月を上回った。
 8月までの豚肉生産量の合計は、783万4000トンと前年同期を3.9%上回っている。年間生産量についてUSDAは、今後も増加傾向での推移が見込まれることから、過去最高となる1210万トン(前年比4.3%増)と見込んでいる。
 また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年8月の豚肉卸売価格は、生産量の増加などを背景に、前年同月比24.9%安の100ポンド当たり68.35米ドル(1キログラム当たり173円:1米ドル=115円)となり、7カ月連続で前年同月を下回った(図4)。
 
図4 豚肉卸売価格の推移
 
 

中国向け輸出量は大幅に減少
 

USDA/ERSによると、2018年7月の豚肉輸出量は、前年同月比8.9%増の19万3000トンとなった(表5)。
 
表5 豚肉輸出量の推移


 輸出先別に見ると、米国産豚肉に対して報復関税を課しているメキシコおよび中国・香港向けは、それぞれ前年同月比1.0%減、同17.3%減となった。メキシコ向けについて一部報道では、報復関税下でも需要は堅調であることから、今後、7月の水準を上回ると予想されている。カナダ向けは、同国の輸出量の減少を背景とした国内供給量の増加などから、同9.4%減の1万9000トンとなった。
 一方、韓国向けは、堅調な需要に加え、豚肉価格が低価格であったことなどにより、同64.0%増と大幅に増加した。韓国向けは、豚肉の輸入元である中国でアフリカ豚コレラが発生したことから、その代替輸入元として、さらに米国産豚肉への需要増加を見込む声もある。また、日本向けも同6.6%増とかなり増加した。
 USDAは今後の輸出量について、2018年第3四半期(7〜9月)を前年同期比5.7%増、第4四半期(10〜12月)を同7.2%増と、増加傾向で推移すると見込んでいる。
 
(調査情報部 渡辺 陽介)
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