豚飼養頭数は4年ぶりに減少
カナダ統計局(Statistics Canada)が8月23日に公表した「Hog Statistics」によると、2018年7月1日時点の豚飼養頭数は1418万5000頭(前年比0.4%減)となり、2014年以来、4年ぶりに前年を下回った(表6)。これは、過去最高を記録した2005年を6.6%下回るものの、直近10年間で最も少なかった2010年を13.3%上回る水準である。
なお、区分別にみると繁殖豚は126万3600頭(同0.3%増)となり、増加ペースは鈍化したものの、4年連続で前年を上回った。この点に関して米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、マニトバ州やケベック州といった主要養豚地域における豚舎の新設を背景に、繁殖雌豚の飼養頭数は2019年にかけてわずかに増加すると見込んでいる。
生体輸出はかなりの程度減少
2018年上半期(1〜6月)の生体豚需給をみると、生体豚輸出頭数は271万2000頭となり、前年同期を6.9%下回った(表7)。この要因としては、最大輸出先である米国の豚飼養頭数が過去最高水準で推移しており、カナダ産生体豚への需要が低下したことが挙げられる。
また、産子数は1412万6000頭(前年同期比4.5%減)と、2014年以来4年ぶりに前年を下回った。カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の食肉市況分析部門であるCanFaxによれば、飼養頭数の減少にはこうした状況が影響を及ぼしているとみられている。
豚肉輸出量は前年同期比微減
カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2018年7月の豚肉輸出量は前年同月比4.7%減の9万3830トンとなった。2018年の豚肉輸出量を月別にみると、前年同月を上回ったのは1月と5月の2カ月のみであった。こうしたことから、同年1〜7月の豚肉輸出量は73万2896トンと、前年同期を2.7%下回った(図5)。
輸出先別にみると、最大輸出先である米国向けは20万3685トン(前年同期比7.2%減)、第2位の輸出先である中国向けは15万9622トン(同17.6%減)と、どちらも前年同期を下回った(表8)。一方、カナダ産豚肉に対する需要が堅調な、中国以外のアジアの国々などについては、前年同期を上回って推移した。USDA/FASによれば、堅調な豚肉生産を背景にカナダ産豚肉に対する需要が低下している米国への輸出減は、日本をはじめ韓国、フィリピン、メキシコへの輸出が増加することによって相殺されるとみられている。
米中貿易紛争の余波は限定的
追加関税措置を受けて米国の中国向け豚肉輸出が減少していることに関して、USDA/FASは中国市場において米国産がカナダ産に置き換わる可能性は低いとみている。この要因として、カナダに米国ほどの供給余力が無いことなどが挙げられている。
(調査情報部 野田 圭介)