6月の豚肉生産量は前年同月を下回る
欧州委員会によると、2018年6月の豚肉生産量(EU28カ国)は、前年同月を1.4%下回る186万7310トンとなった(図6)。1頭当たり枝肉重量は、91.6キログラムと前年同月を0.3%上回ったものの、と畜頭数は、2040万頭と前年同月を1.7%下回った。
6月の主要生産国の豚肉生産量を見ると、ポーランドおよびスペインでは増産となったものの、デンマーク、オランダ、ドイツ、イタリア、フランスでは減産となった(表9)。
同年1〜6月の豚肉生産量の合計は、1200万4260トン(前年同期比3.4%増)となった。なお、6月の減少率が最も大きかったデンマークは、4月が前年同月比23.7%増、5月が同20.2%増と大幅に増加していたものの、6月が同17.4%減であったことから、1〜6月でみると、全体の増加率と同水準の前年同期比3.9%増となった。
豚価は前年を下回る水準で推移
欧州委員会によると、2018年8月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比12.6%安の100キログラム当たり148.74ユーロ(1万9931円:1ユーロ=134円)となり、12カ月連続で前年の水準を下回って推移している。
価格動向を週ごとに見ると、同価格は8月6日の週に前週比1.7%高と上昇に転じ、4週連続して前週比高で推移した(図7)。8月20日の週には、2017年10月以降初めて、100キログラム当たり150ユーロを上回り、8月27日の週には、同151.69ユーロ(2万326円)まで上昇した。これは、異常な猛暑の終焉に伴い需要が回復したことによるものとみられる。
しかしながら、9月3日の週以降は3週連続で下落し、9月17日の週は、同143.59ユーロ(1万9241円)となった。現地報道などによると、価格が再び下落し始めたのは、と畜頭数および一頭当たり重量の増加により豚肉生産量が増えていることによるものとみられる。
ブルガリアおよびベルギーでもアフリカ豚コレラが発生
国際獣疫事務局(OIE)は8月31日、ブルガリアで初のアフリカ豚コレラ(ASF:African Swine Fever)の発生が裏庭養豚農家において確認されたと発表した。また、9月14日、べルギーでは、1985年以来となるASFの発生が野生いのししにおいて確認されたと発表した。なお、ブルガリアの発生場所は、同国北東部のヴァルナ州プロヴァディア基礎自治体、ベルギーは、同国最南東部のリュクサンブール州エタルである。
特にベルギーは、EU最大の豚肉生産国であるドイツ、第3位のフランス、第7位のオランダ(順位は2017年)に隣接しており、豚肉の主要生産国が多い西欧地域に位置していることから、同地域での感染拡大に対する警戒が高まっている。
(調査情報部 前田 絵梨)