7月の生乳生産量は、前年同月比5.6%増
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2018年7月の生乳生産量は、26万2000トン(前年同月比5.6%増)と4カ月連続で前年同月を上回った(図21)。6月に2018/19年度(6月〜翌5月)の新シーズンがスタートしたが、7月までの2カ月間の累計でも46万トン(前年同期比8.0%増)と順調に推移している。これは、最近、適度な降雨など順調な天候が続き、牧草の生育状況が良好であるためである。
7月の乳製品輸出量、脱脂粉乳が大幅減も全粉乳およびバター類が高い伸び
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2018年7月の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表17、図22)。
7月の輸出量については、昨年高水準であった反動から脱脂粉乳が減少したものの、生乳生産が順調であったことなどから、全粉乳およびバター類が前年同月比で2割前後の高い伸びとなった。全粉乳については、中国およびマレーシア向けが高い伸びとなった。バター類については、バターオイルがサウジアラビアおよびイランなどの中東諸国向けで高い伸びとなり、全体を押し上げた。
乳製品国際価格、主要4品目は弱含みで推移
2018年9月18日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、次の通りとなった(表18、図23)。主要4品目については、前回比でいずれも値を下げる結果となった。
脱脂粉乳および全粉乳は、それぞれ前回比1.2%安の1トン当たり1980米ドル(22万7700円)、前回比1.9%安の同2768米ドル(31万8320円)となった。
また、バターも、前回よりもわずかに値を下げ、同4270米ドル(49万1050円)と続落し、前年比では3割近く値を下げた。チーズも前回比3.5%安、前年比13.1%安の同2934米ドル(33万7410円)と、9カ月ぶりに同3000米ドルを下回ることとなった。
このように、全般的に弱含みの取引結果となったのは、ニュージーランドの生乳生産の回復が顕著になったことに加え、その他の主要国の生乳生産がおおむね順調であることを反映したものとされている。
2017/18年度のフォンテラ社の決算は約2億NZドルの損失を計上
フォンテラ社は9月13日、2017/18年度(2017年8月〜2018年7月)の決算を公表した。これによれば、同社の売上高は前年度比6%増の204億NZドル(1兆5708億円;1NZドル=77円)に達したものの、税引き後の損失が1億9600万NZドル(150億9200万円)となったことが明らかとなった。
このような損失が生じた要因としては、出資先の中国の乳業会社の損失などを計上したことを挙げている。
(調査情報部 石橋 隆)