生産者の皆さまをはじめ、関係機関・団体が一丸となって、口蹄疫からの再生・復興に取り組んできた結果、28年の畜産の農業産出額は2206億円と過去最高額を記録しました。
また、肉用牛においては、昨年の「第11回全国和牛能力共進会」で3大会連続となる内閣総理大臣賞受賞を果たすとともに、訪日旅行客の拡大を背景に和牛への関心が高く、多様な部位の需要が見込まれる台湾へ向け、全国に先駆けた「宮崎牛」の輸出や、「宮崎牛」のブランドを守るための地理的表示(GI)保護制の登録などに取り組んできました(写真1)。また、30年3月には第90回アカデミー賞授賞式後のパーティーで宮崎牛が特定産地の和牛として初めて採用(写真2)されるとともに、株式会社ミヤチク、JA宮崎経済連、県の三位一体のプロモーション活動を行った結果、29年度の牛肉輸出量は394トンと過去最高となりました(図1)。
さらに、生産基盤の面では、農林水産省の「畜産クラスター事業」などの支援を受け、生産者個々の規模拡大に加え、連携・分業化による産地ごとの生産力向上に向けた繁殖センターやキャトルステーションなどの地域拠点施設の整備も県下に広がり、繁殖雌牛が27年を境に増加に転じ、30年は対前年比2600頭増加(全国1位の増加頭数)の8万3200頭となり、32年のプラン目標である8万頭を前倒しで達成することができました。
また、担い手については、口蹄疫で発生地域に豚がいなくなったピンチをチャンスと捉え、特定疾病のフリー地域づくりに貢献された有限会社香川畜産が天皇杯を受賞されるとともに、本年6月には同代表の香川雅彦氏が本県から初めて一般社団法人日本養豚協会の会長に就任するなど、畜産をけん引するリーダーが県内各地域で活躍しています(写真3)。
流通・販売においては、農林水産省の「農畜産物輸出拡大施設整備事業」
(注)の支援を受け、県内で生産された牛・豚・鶏を県内で処理・加工して付加価値を付けるための最新鋭の設備などを備えた2カ所の輸出拠点施設の整備も着々と進んでいます(写真4)。
また、畜産への依存度が高い産地構造を転換するため、JAグループが、当時西日本最大級の冷凍野菜加工工場を新設し、経営中止した畜産農家の飼料畑などを加工業務用野菜の栽培に利用集積した結果、国産冷凍ホウレンソウの7割を占める産地が形成されております。
注:「 攻めの農林水産業」を実現するため国産農畜産物の輸出拡大に必要な産地基幹施設の整備を支援する事業