平成30年10月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり194円(前年同月比17円安)となった。10月の卸売価格が200円未満となったのは、平成24年以来6年ぶりとなる(図10)。
気象庁によると10月の東京の月平均気温は19.1度と前年同月を2.3度上回り、比較的暖かい日が続いた。その結果、おでんなどの鍋物需要が例年ほど振るわず、これが、10月の鶏卵相場の伸び幅が小さかった要因の一つとみられる。
今後の需給動向について、供給面は、7月のひなえ付け羽数が前年同月をかなりの程度上回っていることから比較的好調な生産量が予想される。一方、需要面では、鍋物やクリスマスケーキ向けなど季節商材の需要が高まるなど、年末の最需要期に向け引き合いは増加するため、今後の鶏卵相場は、引き続き上昇基調で推移するとの見方が多い。
食用生鮮殻付鶏卵の輸出拡大へ期待
鶏卵類の輸出量について見ると、日持ちのする加工用粉卵なども含め年々増加しており、平成29年の輸出量は4128トン(前年比21.1%増)と7年連続で前年を上回り、30年9月現在で4149トン(前年同期比45.9%増)と急速に拡大している。このうち9割以上が食用生鮮殻付鶏卵となっており、そのほとんどが香港向けに輸出されている(図11)。
こうした中、農林水産省は平成30年10月16日、米国への食用生鮮殻付鶏卵の輸出が解禁になったと発表した。米国の2017年の一人当たり鶏卵消費量は276個(前年比4個増)と鶏卵の一大消費地であり、ハワイやグアムなど、日本から比較的近く日本人観光者・移住者が多い地域への輸出が期待される。
(畜産需給部 岩井 椿)