18年度の雄牛、経産牛のと畜頭数が増加
ニュージーランド(NZ)統計局によると、2017/18年度(10月〜翌9月)の牛と畜頭数は、259万頭(前年度比7.8%増)とかなり増加した(図5)。内訳をみると、雄牛、去勢牛、未経産牛、経産牛のすべてで増加しており、特に、雄牛は54万頭(同17.4%増)と大幅に、経産牛は102万頭(同9.0%増)とかなり増加した。雄牛は、比較的高水準な肉牛取引価格を背景に、酪農経営で生まれた雄子牛のうち肥育に仕向けられた頭数が増加したことが増加の要因とみられる
(注)。経産牛は、その大部分が乳用経産牛であるが、2017年後半に発生した干ばつにより牧草の生育が悪かったことから、淘汰が増加したものとみられる。
この結果、2017/18年度の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、65万トン(同7.1%増)とかなり増加した。
注:NZでは、酪農経営で生まれた雄子牛の多くは生後4日以降にと畜され、一部が肥育に仕向けられる。
牛肉輸出量、中国向けが大幅増
NZ統計局によると、2017/18年度の牛肉輸出量は、牛肉生産量の増加に伴い、43万664トン(前年度比8.8%増)とかなり増加した(表6)。
輸出先国別にみると、最大の輸出先国である米国向けは、同国における牛肉生産量の増加に伴い年度後半は需要の減少がみられたものの、年度前半の輸出が好調であったことから、19万2600トン(同4.6%増)と増加した。2番目の輸出先国である中国向けは、同国における牛肉需要増に伴い10万5164トン(同34.2%増)と大幅に増加した。なお、同国向けの冷蔵牛肉輸出は、同国向け輸出量全体に占める割合は少ないものの、試験的輸出が開始された2016/17年度は121トン、2017/18年度は2613トンと大幅に増加し、冷蔵牛肉輸出全体では、日本、アラブ首長国連邦に次ぐ、3番目の輸出先国となった。
一方、日本向けは、1万5088トン(同16.3%減)と大幅に減少した。内訳をみると、冷蔵牛肉は大幅に増加している一方、日本の関税緊急措置(セーフガード)が発動し、日本における関税率が引き上げられた冷凍牛肉は、その大部分が加工原料向けの牧草肥育牛
肉であるが、日本と経済連携協定(EPA)を締結し、関税が有利な豪州産との競合などから、8632トン(同30.3%減)と大幅に減少した。
2018/19年度の牛と畜頭数、雄牛および経産牛が減少見込み
ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)が公表した「New Season Outlook2018-19」によると、2018/19年度の輸出向け牛のと畜頭数(と畜頭数全体の95%程度)は、251万頭(前年度比3.1%減)とわずかに減少すると見込んでいる(表7)。内訳をみると、未経産以外の、去勢、雄牛および経産牛は、いずれも減少を見込んでおり、特に、雄牛と経産牛は、前年度に増加した反動により減少するとしている。
この結果、輸出向け牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、62万8000トン(同3.1%減)とわずかな減少を見込んでいる。また、牛肉輸出量(船積重量ベース)は、生産量の減少により、41万5000トン(同3.0%減)と減少を見込んでいる。
なお、BLNZは、世界的な牛肉需給について、今後、米国、EU、豪州など、主要な牛肉生産国で干ばつが発生していることから、牛肉供給量が増加し、牛肉輸出価格の下落につながることを懸念する一方、中国を中心に牛肉需要は増加しており、不透明な状況にあるとしている。
(調査情報部 大塚 健太郎)