引き続き、冷凍鶏肉と冷凍加塩鶏肉の輸出が好調
2018年1〜9月の鶏肉調製品、冷凍鶏肉、冷凍加塩鶏肉の輸出量はいずれも増加した(表12)。
鶏肉調製品は、前年同期比4.3%増の40万8000トンであった。冷凍鶏肉は、同43.0%増の20万1000トンとなり、日本向けも引き続き好調である。冷凍加塩鶏肉は、同56.2%増の7万7000トンと大幅に増加した。
冷凍加塩鶏肉はほぼすべてがEU向けであり、今年の輸出量増加の背景には、ブラジル産の輸出減がある。ブラジルでは2017年3月に食肉加工場での不正が発覚したほか、EUへ輸出されたブラジル産鶏肉からサルモネラ菌が検出されるなどしており、EUのブラジルからの輸入量は、前年同期比で鶏肉調製品が24.9%減、冷凍加塩鶏肉が53.1%減である(表13)。
ブラジル産の代替需要などにより、2018年1〜8月のEUのタイからの輸入量は、それぞれ同7.3%増、25.5%増と大幅に増えている。
なお、EUは鶏肉調製品と加塩鶏肉の関税割当
(注1)を行っており、タイの関税割当の枠の消化率はタイが高く、ブラジルは低い。
注1: 鶏肉調製品の枠内税率は8%、枠外税率は1キログラム当たり1.024ユーロ(133円、1ユーロ=129.9円)。冷凍加塩鶏肉の枠内税率は15.4%、枠外税率は1キログラム当たり1.3ユーロ(169円)である。7月〜翌6月の間の割合数量。
乾期作推進によって国産トウモロコシを増産
タイ政府は、乾期に
灌漑によって生産しているコメの代わりにトウモロコシを作付けすることで、灌漑用水の消費量を抑えつつ、需要の高いトウモロコシの生産量を拡大することを目指している
(注2)。このため、2017年の乾期作トウモロコシの作付けに対し、1ライ(16アール)あたり2000バーツ(6960円、1バーツ=3.48円)の補助金を支給した。
2018年の作付けに対しては、補助金の支給ではなく、低利融資を行うとされている。業界関係者への聞き取りによると、2018年の政府の乾期作トウモロコシ作付け目標は200万ライで、10月末時点で120万ライについて作付けする意思が示されたとされる。
タイ飼料工業会によると、飼料用トウモロコシの需要が約800万トンあるのに対し、国内生産は約500万トンにとどまっている。
注2 : タイでは、約1000万ライの乾期作稲が作付けられている。2017年のトウモロコシ生産量に占める乾期作の割合は約5%。乾期作稲に比べ、乾期作トウモロコシは灌漑用水の使用量が2~3割と言われる。乾期作トウモロコシの播種は11〜1月ごろ。
(調査情報部 三原 亙)