8月の生乳出荷量は前年同月と同水準
欧州委員会によると、2018年8月の生乳出荷量(EU28カ国)は、1307万350トン(前年同月比0.1%増)となった(図13)。生乳出荷量は、2017年3月以降、増加傾向で推移していたが、2018年8月は前年同月と同水準となった。
8月の出荷量を加盟国別にみると、デンマーク(同5.3%増)、アイルランド(同3.6%増)、ベルギー(同3.6%増)などは増産となった。一方、2017年にリン酸塩排出削減のために乳牛の
淘汰を行ったオランダ(同2.9%減)のほか、英国(同0.7%減)、イタリア(同0.3%減)などでは減産となった(表14)。
なお、8月の生乳の乳脂肪および乳たんぱく質含有率は、前月に続き、いずれも前年同月を下回った。乳脂肪含有率は前年同月を0.05ポイント下回る3.90%、乳たんぱく質含有率は同0.04ポイント下回る3.32%となった。これは、この夏の猛暑によるストレスと、干ばつの影響で牧草の生育が芳しくなかったことによるものと考えられる。
乳牛飼養頭数は、前年と同水準
5〜6月の家畜飼養頭数調査によると、2018年の主要生乳生産国10カ国の乳牛飼養頭数の合計は前年と同水準(前年比0.1%減)であった。生産国別に見ると、ポーランド(同3.7%増)、アイルランド(同3.4%増)、ベルギー(同2.1%増)などでは増加したものの、オランダ(同3.8%減)、フランス(同1.2%減)、ドイツ(同1.1%減)では減少した。
なお、この夏は、干ばつの影響による飼料不足から、牛を淘汰する生産者も見られた。また、2018年1〜7月の未経産牛のと畜頭数の合計は、前年同期を6.3%上回っており、乳牛の更新率も低くなっている。
これらを踏まえ、欧州委員会は、10月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、乳牛飼養頭数を、2018年は前年比0.3%減、2019年を同0.4%減と見込んでいる。しかしながら、一頭当たり乳量は増加するとみられており、生乳出荷量については、2018年は0.8%増、2019年は0.9%増と見込んでいる。なお、生乳出荷量については、干ばつの影響を踏まえ、2018年、2019年のいずれも7月公表の見通しから下方修正されている。
乳価は6カ月連続で前年同月を下回る
欧州委員会によると、9月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比7.0%安の100キログラム当たり34.27ユーロ(1キログラム当たり44.55円:1ユーロ=130円)となった(図15)。生乳出荷量が増加傾向で推移してきたことから、乳価は、2018年4月から6カ月連続で前年同月比安となっている。
(調査情報部 前田 絵梨)