平成30年10月の鶏肉需給を見ると、生産量はブロイラー用ひなえ付け羽数が増加傾向で推移する中、増体に適した時期に入り14万359トン(前年同月比2.4%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は5万4411トン(同5.9%減)と3カ月連続で前年同月を下回った。推定出回り量は、国産品が13万9232トン(同0.4%減)と前年同月をわずかに下回り、輸入品は5万1575トン(同13.9%増)と前年同月をかなり大きく上回ったことから、19万807トン(同3.1%増)と前年同月をやや上回った。推定期末在庫は前月から3963トンを積み増し16万6766トン(同2.7%減)となった。このうち、輸入量の増加により在庫が積みあがっていた輸入品は13万7832トン(同4.6%減)と、13カ月ぶりに前年同月を下回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
鶏肉輸入量、5万トンを超える高水準
30年10月の鶏肉輸入量(5万4411トン:前年同月比5.9%減)は、前年同月をやや下回ったものの最需要期の冬場に向けた手当ての動きを反映し、今年度の中では最も多い数量となった(図3)。
国別に見ると、高い供給力と価格優位性から輸入量の7割以上を占めるブラジル産が3万9067トン(同8.0%減)と前年同月をかなりの程度下回った。一方で、高度な加工技術に定評のあるタイ産は1万3329トン(同4.9%増)と前年同月をやや上回った。また、例年、クリスマス用チキンとして骨付き鶏肉の輸入がピークを迎える米国産は、1862トン(同19.0%減)と前年同月を大幅に下回った。この要因として、前年度の米国産の価格が高かったことから、今年は米国産の一部を安価なタイ産鶏肉調製品にシフトする動きがあったとの声も挙げられる。
鶏肉調製品輸入量、初めて5万トンを超える
鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、サラダチキン、フライドチキンなど)の輸入量を見ると、近年健康志向の高まりや、共働き世帯の増加による中食・外食需要の増加などにより、増加傾向で推移している(図4)。30年10月の鶏肉調製品輸入量を国別に見ると、輸入量の約6割を占めるタイ産が3万699トン(前年同月比18.7%増)と前年同月を大幅に上回った。また、約4割を占める中国産も1万9322トン(同17.9%増)と前年同月を4カ月連続で上回った。その結果、鶏肉調製品輸入量の合計は、5万480トン(同18.9%増)と初めて5万トンを超える数量となった。この要因として、国内の人手不足を背景に加工度の高い調製品の需要が強まっていることが挙げられる。
(畜産需給部 岩井 椿)