平成30年10月の生乳生産量は、59万6526トン(前年同月比0.7%減)と2カ月連続で前年同月を下回った(図5)。
地域別に見ると、都府県は離農などによる減産傾向が続いており、26万8456トン(同2.4%減)と32カ月連続で前年同月を下回った。一方、9月6日に発生した北海道胆振東部地震の影響により13カ月ぶりに減少した北海道は、32万8070トン(同0.7%増)と再び増加に転じたものの、震災の影響や長雨による今年産の牧草の品質低下などにより伸び率は鈍化している。主産地別では、帯広地区が前年同月比3.4%増、北見地区が同2.1%増、中標津地区が同0.2%増となった。
用途別処理量を見ると、牛乳等向けは35万4842トン(同2.2%増)と、北海道の生乳生産量の回復を受けて再び増加に転じた一方、乳製品向けは23万7565トン(同4.6%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。このうち、脱脂粉乳・バター等向けは、コンビニエンスストアでの生クリームを使用した食パンや和洋菓子の販売好調を背景とした液状乳製品向けの増加などにより、前年同月比12.3%減とかなり大きく減少した(農林水産省「牛乳乳製品統計」、ホクレン農業協同組合連合会「生乳受託乳量速報値」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
乳牛償却費、初妊牛価格上昇により大幅増
農林水産省は平成30年12月4日、「平成29年度牛乳生産費」を公表した。これによると、全国の搾乳牛1頭当たりの資本利子・地代全額算入生産費(以下「全算入生産費」という)は、75万7043円(前年度比2.5%増)と2年連続で増加した。
地域別に見ると、北海道は67万6649円(同2.9%増)、都府県は85万5417円(同2.6%増)といずれも増加した。増加要因として、北海道、都府県ともに、全算入生産費の約2割を占める乳牛償却費が初妊牛価格の上昇により大きく増加したほか、全算入生産費の約4〜5割を占める飼料費のうち、流通飼料費が配合飼料価格の上昇により増加したことなどが挙げられる。
なお、1頭当たりの労働時間は、1戸当たり乳牛飼養頭数の増加(同2.8%増)に伴う給餌や搾乳時間の短縮などにより、104時間(同1.6%減)と減少した(表3)。
(畜産需給部 二又 志保)