平成30年11月の鶏卵卸売価格を見ると、1キログラム当たり195円(前年同月比33円安)となり、11月に200円台を割ったのは23年以来7年ぶりとなった(図6)。
鶏卵価格は、例年、夏場に底を迎え、需要期の冬場に向けて上昇する傾向があるが、近年は同価格が高水準で推移していたこともあり、生産者の生産意欲が高まったことから好調な供給が続いており、前月から1円上昇するにとどまった。さらに、気象庁が発表した30年11月の東京の月平均気温は14度(前年同月比2.1度高)と、11月としては比較的暖かい日が続いたことにより、需要が振るわなかったことも同価格が伸び悩んだ原因の一つとみられる。
今後、需要面では、クリスマスの洋菓子需要や年末商戦の盛り上がりに加え、おでんやすき焼きなどの季節需要が高まると見込まれる。一方、供給面では、12月頃に産卵のピークを迎える春先のひなえ付け羽数が前年を上回って推移していることから、引き続き好調に推移するとみられる。
東京、大阪価格差縮まる
東京・大阪の鶏卵卸売価格(L・M玉)を見ると、今夏は、全国的な猛暑が続いたことで卵重が低下し、同価格が上昇する動きがみられた(図7)。また、大阪に関しては、記録的な豪雨などの災害により物流が混乱したこともあり、鶏卵全体の相場が上がり、西高東低の価格となり、11月時点では価格差が縮まっているものの、その傾向は続いている。
今後、需要面では最需要期となる一方、供給面では、豪雨や台風により、中四国での採卵用ひな餌付け羽数が7〜8月に前年を下回ったものの、1〜10月計では前年を上回って推移していることから、東西の価格差が縮まるか注目されている。
(畜産需給部 岩井 椿)