輸入は引き続き増加
中国海関総署によると、1〜10月の牛肉輸入量は83万トンで、前年同期比49.6%増であった。なお、中国側は2018年4月以降、詳細な統計を公表していないため、輸入先国別の輸入量は不明である。
輸出国側の統計をみると、2018年1〜9月の冷凍牛肉輸出量は、ブラジル、豪州
(注)、アルゼンチン、米国産が前年同期比50%以上増加している(表2)。特に、アルゼンチンは2015年12月の政権交代によって各種輸出規制が撤廃されたことで、中国への輸出が急拡大を続けている。
注:豪州は1〜8月。
冷蔵牛肉の2018年1〜9月の中国への輸出量は、豪州、ニュージーランド、米国とも大幅に増加した(表3)。
特にニュージーランドは前年同期比約26倍と飛躍的に増加している。
国内価格も引き続き上昇
牛枝肉の卸売価格は、2017年8月以降、上昇し続けている(図7)。2017年の夏までは輸入量が増加する一方で価格には大きな変化はみられなかった。しかし、17年秋以降は上昇基調で推移しており、2018年10月時点で前々年同月比9.5%高、前年同月比7.2%高となっており、供給が不足しはじめていることがうかがえる。
牛肉生産量が下方修正
中国国家統計局は2018年9月に出版した『中国統計年鑑2018』において、第3次農業センサスの結果に基づいて、主要な農業関係の統計数値を遡って修正した(表4)。牛肉生産量は2016年が100万トン引き下げられ、過去10年にわたってほとんど増加していなかったことが分かった。
肉用牛飼養頭数の修正後のデータは公表されていないが、牛肉生産量の修正幅を基に推計すると、2016年は約1000万頭減り、6290万頭となった。
上記修正を基に近年の需給状況を推計すると、2013年〜2016年は需要の増加を輸入増でまかなっていたことが分かる(表5)。
(調査情報部 三原 亙)