7〜9月では増加も、ストライキによる減少分をカバーできず
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2018年1〜9月の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年同期比5.1%減の286万1484トン(製品重量ベース)となった(表9)。7〜9月の3カ月間のみでみると、前年の同期間と比較して4.6%増となったものの、5月末に発生したトラック運転手によるストライキの影響で、輸送が滞った結果、6月の輸出量が前年同月比35.9%減の22万223トンにとどまった影響が大きかった。
国別に見ると、サウジアラビア向けが、新たなハラル認証制度の影響で一部パッカーからの輸出が制限されたことから、前年同期比24.1%減と前年同期を大幅に下回った。また、日本向けも、日本国内の在庫高や相場安の影響などにより、同12.7%減となった。一方、中国向けは、同国の旺盛な需要を背景に同10.7%増と前年同期をかなりの程度上回った。
生産コストは上昇傾向
ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養鶏・養豚調査センター(CIAS)によると、最大生産州パラナ州におけるブロイラー生産コスト指数は、2017年9月以降上昇傾向で推移しており、2018年9月には228.07と、近年で最も高かった2016年5月の水準に近づきつつある。この要因として、生産コストの約7割を占める飼料の主原料であるトウモロコシが、17年と比較して不作だったことで価格が高止まりしていることに加え、前述のストライキの結果、トラック運転手の賃金が高騰したことにより輸送コストが上がったことなどが挙げられる(図12)。
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が10月11日に公表した「Livestock and Poultry: World Markets and Trade」によると、2019年のブラジルの鶏肉生産量は、経済の回復に伴う国内消費量の増加や、飼料原料の一部である大豆の豊作が見込まれていることで、生産コストが下がることが予測されていることから、前年比1.8%増の1380万トン(可食処理ベース)と見込まれている。また、輸出量については、生産量の増加に加え、鳥インフルエンザ未発生国としての強みを活かし、世界各国からの需要が強まること、中国をはじめとした主要輸出先国からの需要も依然として大きいことから、同2.4%増の377万5000トンと予測されている。
(調査情報部 佐藤 宏樹)