生乳生産量は微増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年11月19日に公表した「Milk Production」によると、経産牛飼養頭数は、酪農家の収益性の低下や草地の状態の悪化などにより経産牛の淘汰が増えていることから、同年6月以降前年をわずかに下回って推移しており、10月は前年同月比0.3%減の936万5000頭となった。一方、1頭当たり乳量は増加傾向で推移しており、同月は同1.1%増の867キログラムとなった(図13)。
この結果、同月の生乳生産量は、1頭当たり乳量の増加により、同0.8%増の812万2000トンとなった。州別に見ると、生乳生産量が最も多いカリフォルニア州は同3.2%増の152万5000トン、二番目に多いウィスコンシン州は同0.3%減の115万2000トンとなった。
カリフォルニア州ではバター増産
USDA/NASSが2018年11月1日に公表した「Dairy Products」によると、チーズの生産量は、国内の堅調な需要などを受けて前年を上回って推移しており、9月は前年同月比3.1%増の47万9000トンとなった。州別に見ると、ウィスコンシン州は同2.0%増の12万7000トン、カリフォルニア州は同5.9%増の9万3000トンとなった。
一方、同月のバターの生産量は、チーズ製造者からの原料乳需要が高まったことなどから、同0.1%減の6万1000トンとなった。最大のバター生産州であるカリフォルニア州の生産量は、同21.0%増の2万トンとなり、東部および中部地域での減産を相殺した(図14)。現地報道では、カリフォルニア州の増産要因について、生乳生産量が増加する中、輸送コストが上昇していることにより州外へのクリームの輸送が抑制されたことから、バター製造者への供給が増えたとされている。
チーズ、バターの在庫量は引き続き高水準
USDA/NASSが2018年11月21日に公表した「Cold Storage」によると、10月末時点のチーズ在庫量は、前月からほぼ横ばいとなり、前年同月比8.2%増の62万3000トンと、同月としては過去最高を記録した(図15)。在庫の増加要因としては、チーズ生産量の増加に加え、最大の輸出先であるメキシコが米国産のチーズなどに対して追加関税を課したことにより、同国向け輸出量が減少したことなどが挙げられる。
同時点のバターの在庫量は、同5.9%増の10万5000トンとなった。直近で在庫が最も積み上がっていた5月末時点の15万4000トンから取り崩しが進んだものの、依然高い水準にある。
(調査情報部 渡辺 陽介)