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新年のごあいさつ 畜産の情報 2019年1月号

新年のごあいさつ

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独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 佐藤 一雄    佐藤理事長


 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 alicの業務につきまして、旧年中は皆さまのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 昨年は、夏期の西日本を中心とした集中豪雨、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震、秋に日本列島を縦断した台風21号、24号などによる災害が多かった年でもありました。これらにより、多くの方が被災されたほか、農作物、家畜、農畜産業関連施設にも多大な被害が発生しました。被害に遭われた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
 alicでは被災した畜産農家の経営の継続を図るため、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)および養豚経営安定対策事業(豚マルキン)の生産者積立金の納付免除のほか、損壊した畜舎・飼養管理機械等の補改修や家畜の導入支援などの関連対策を実施しました。また、畜産に甚大な影響を及ぼした北海道胆振東部地震および台風21号においても、乳房炎の治療・予防管理のための経費、緊急的に行った非常用電源の確保等に対する支援など、ハード面からソフト面までのきめ細かい支援策を講じているところです。
 alicは、昨年4月から、第4期目となる向こう5年間の中期目標期間に入りました。今次の中期目標期間においても、これまでに培ったノウハウ等を活かしつつ、alicに与えられた使命を確実に果たしていきたいと考えております。
 さて、わが国の農林水産業をめぐっては、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」が昨年12月30日に発効となりました。これにより、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、豪州との間で協定が適用されることになります。
 一方、日EU経済連携協定(EPA)承認案についても、12月の国会で審議され可決されました。政府は本年2月の発効を目指していると聞いておりますが、同協定が発効すれば、alicが担う業務を取り巻く環境がさらに変化することとなります。
 生産者の皆さまが将来の経営展望を抱けるよう「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づき、協定発効に先立って29年度から加工原料乳生産者補給金制度の対象に生クリーム等の液状乳製品を追加し、補給金単価が一本化されたほか、昨年12月末の協定の発効に合わせて、法律に基づく牛マルキンや豚マルキンの実施、補(てん)率の引き上げ、肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格の経営実態に即した見直し等が行われました。
 以上のような新たな対応が必要な業務を始め、加工原料乳生産者補給金制度等の経営安定対策、需給調整・価格安定対策、諸情勢の変化に対応した緊急対策を的確に遂行してまいります。
 畜産・酪農の生産基盤強化のためには、担い手の高齢化や後継者不足等を背景とする経営離脱の抑制、労働時間の長い酪農経営の労働負担軽減に加えて地域の生産体制の強化にも取り組む必要があります。alicとしては畜産業振興事業などを効果的に実施するとともに、このような課題に取り組む優良事例に関する情報等を広く提供してまいりました。肉用牛については、繁殖雌牛頭数が3年連続で増頭し、乳用牛の飼養頭数についても、16年ぶりに増加に転じるなど明るい兆しが見えてきました。これは、畜産・酪農の諸課題に対し農林水産省と一体的に取り組んだ成果であると考えております。本年も生産者の皆さまの意見等に傾聴しながら、この動きを確固たるものとしていく所存であります。
 また、国内における脱脂粉乳・バターの需要に的確に応えるため、関係者との情報共有と意見交換を目的とした乳製品需給等交換会議を昨年は5回開催しました。alicは国内における乳製品の安定供給を図るため、農林水産省と連携の上、国家貿易機関としての乳製品の輸入・売渡業務の適切な運用を通じたバター及び脱脂粉乳の需給の安定に努めてまいります。
 さらに、alicでは内外の農畜産物に関する情報の収集・提供を行っていますが、新たな国際環境の下で、その重要性は一層高まるものと考えています。特に海外情報の分野では、農畜産物の関係国における需給・価格や輸出余力、わが国の輸出可能性や輸出促進に関する先進事例などについて情報収集、整理・分析を行い、関係者にタイムリーに提供することを通じ、わが国の農畜産業を支援していくこととしています。
 alicでは、これからも、生きていく上でなくてはならない大切な「食」を支えていくために、農畜産業・関連産業に携わる方々を応援し、消費者の皆さまに農畜産物が安定的に届けられるよう努めてまいりますので、引き続きご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますことをご祈念申し上げて、新年のごあいさつといたします。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-4398  Fax:03-3584-1246