平成30年11月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万7371トン(前年同月比0.4%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は4万3179トン(同24.3%減)と前年同月を大幅に下回り、4カ月連続で前年同月を下回った。輸入量減少の背景には、29年夏以降、輸入増により積み上がった在庫を調整する動きがあるとみられる。推定出回り量は18万1142トン(同3.1%減)となり、推定期末在庫は16万6174トン(同6.8%減)と減少傾向で推移した(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
ブロイラー養鶏経営、経営費増で所得減
平成30年12月11日に農林水産省が公表した「農業経営統計調査」によると、29年のブロイラー養鶏経営(全国平均・1経営体当たり)の農業粗収益は、需要が増加し、生産、消費ともに好調だったことから1億1598万円(前年比1.0%増)と前年をわずかに上回った。また、農業経営費は、約6割を占める飼料費や人件費の上昇などを背景に1億524万円(同5.7%増)と前年をやや上回った。この結果、農業所得は1074万円(同29.5%減)と前年から約3割減少し、5年ぶりに前年を下回った(図7)。
29年のブロイラー総産出額、前年を上回る3578億円
平成30年12月25日に農林水産省が公表した「平成29年生産農業所得統計」によると、29年のブロイラー総産出額は、3578億円と前年(3441億円)を137億円上回った。これは、健康志向を踏まえた消費者ニーズに応えるための商品開発が進んだことで、生産、消費ともに好調だったことなどが寄与したものとみられる。
都道府県別に見ると、上位5道県は、宮崎県(全国シェア19.6%)、鹿児島県(同18.0%)、岩手県(同16.5%)、青森県(同5.9%)、北海道(同4.8%)と前年の順位から変動はなく、全体の6割強を占めた(図8)。
なお、上位5道県については、志布志港や八戸港など穀物輸入量の多い港湾が近くにあるため、飼料の調達などに優位性があるとされている。
(畜産需給部 岩井 椿)