平成30年11月の生乳生産量は、58万126トン(前年同月比0.4%減)と3カ月連続で前年同月を下回った(図9)。
地域別に見ると、都府県は26万1117トン(同2.3%減)と33カ月連続で前年同月を下回った。一方、北海道は31万9009トン(同1.2%増)と2カ月連続で増加したものの、伸び率は鈍化している。これは、29年9月以降は、台風の影響で不作だった28年度産飼料の給与により生乳生産量が減少した反動もあり、前年を上回って推移したものの、それが一巡したことによる影響が大きいとみられる。ホクレンによる主産地別では、帯広地区が前年同月比3.0%増、北見地区が同2.3%増となった一方、中標津地区は同0.8%増、釧路地区では同0.4%増となった。
用途別処理量を見ると、牛乳等向けは33万2948トン(同1.0%増)と増加した一方、乳製品向けは24万3058トン(同2.3%減)と3カ月連続で前年同月を下回った。このうち、脱脂粉乳・バター等向けは、生クリームなどの液状乳製品向けやチーズ向けの増加により、同8.4%減とかなりの程度減少した(農林水産省「牛乳乳製品統計」、ホクレン農業協同組合「生乳受託乳量」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
29年の生乳総産出額、4年連続で増加
平成30年12月25日に農林水産省が公表した「平成29年生産農業所得統計」によると、29年の生乳総産出額は、前年を11億円上回る7402億円(前年比0.1%増)と4年連続での増加となり、平成6年以降では最高額となった(図10)。
長期的な推移を見ると、後継者不足などを背景とした飼養戸数、飼養頭数の減少による生乳生産量の減少に伴い、生乳算出額は減少傾向で推移してきたが、近年は総合乳価の上昇などにより増加傾向にある。
農林水産省によると、29年については「牛乳類(牛乳、加工乳、成分調整牛乳等)の消費がおおむね横ばいで推移する一方で、健康機能が評価されているチーズや引き合いの強い国産バターについては、必要とされる生乳の生産量が確保できなかったことから、結果として総合乳価が上昇したことなどが寄与した」としている。
都道府県別シェアを見ると、首位の北海道(全国シェア50.1%)が過半を占め、次いで、栃木県(同4.8%)、熊本県(同3.5%)、岩手県(同3.2%)、千葉県(同3.1%)、群馬県(同3.1%)の順となった(図11)。
31年度の加工原料乳生産者補給金等単価が決定
平成30年12月13日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、31年度の畜産物価格等が決定した(表2)。このうち、加工原料乳生産者補給金の単価は、初妊牛価格や流通飼料費などの上昇を踏まえ、1キログラム当たり前年度比0.08円引き上げとなる8.31円、30年度より新設された集送乳調整金の単価は人件費や燃料費の上昇などを踏まえ、前年度比0.06円引き上げとなる同2.49円、合計で10.8円となった。また、総交付対象数量は、推定乳製品向け生乳消費量(354万トン)からカレントアクセス輸入量(約14万トン)を控除して算定した結果、前年度同の340万トンとなった。
(畜産需給部 二又 志保)