平成30年12月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)を見ると、前月比7円安の1キログラム当たり188円(前年同月比46円安)となった。12月に同180円台となるのは、19年の同182円以来11年ぶりとなる(図12)。
同価格は例年、夏場に底を向かえ年末にピークを迎える。30年は3月から4月にかけて温暖な気候による需要の減退と供給増が影響し、4月に成鶏更新・空舎延長事業が発動した後も、価格が十分に上昇することなく推移し年末を迎えた。さらに、年末年始の休業により在庫が滞留したことで一時的に供給過多となり、31年初値は同100円となった。一連の相場安の背景には、採卵鶏農家の大規模化が進んだことで、需要を上回る供給が続いたことなどが挙げられる。
補塡基準価格、安定基準価格が決定
農林水産省は平成30年12月13日、「平成31年度鶏卵生産者経営安定対策事業」のうち、「鶏卵価格差補塡事業」に係る補塡基準価格および「成鶏更新・空舎延長事業」の発動基準となる安定基準価格を決定した。補塡基準価格は平成30年度と同じ1キログラム当たり185円、安定基準価格は同163円となった(表3)。
29年の鶏卵産出額は5278億円
平成30年12月25日に農林水産省が公表した「平成29年生産農業所得統計」によると、29年の鶏卵総産出額は、生産量の増加を背景に、5278億円と前年(5148億円)を130億円上回った。
都道府県別に見ると、上位5県は、茨城県(全国シェア9.7%)、千葉県(同7.2%)、鹿児島県(同5.4%)、広島県(同4.9%)、岡山県(同4.7%)と前年の順位から変動はなかった。これら上位5県合計の全国に占める割合は、前年からわずかに上昇し約3割を占めた(図13)。
なお、これら上位5県は、鹿島港、志布志港や水島港などの穀物輸入量の多い港湾が近くにあるため、飼料の調達などに優位性があるとされている。
(畜産需給部 岩井 椿)