フィードロット導入頭数は3カ月連続で前年同月を下回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年12月20日に公表した「Cattle on Feed」によると、11月のフィードロットへの肥育もと牛導入頭数は、前年同月比4.9%減の199万6000頭と3カ月連続で前年同月を下回った。フィードロットの飼養頭数が多いことを背景に、導入意欲が減少しているとみられている。一方、同月のフィードロットからの出荷頭数は、食肉パッカーからの肥育牛需要が堅調なことから、同1.4%増の186万9000頭となった。
フィードロットの飼養頭数は、記録的な高水準で推移しており、12月1日時点では1173万9000頭と前年同月を1.9%上回り、同月としては2012年以降で最高となった(図1)。
フィードロットからの出荷頭数は、今後も前年同月を上回って推移するとみられるものの、2019年4月ごろから前年同月を下回り始めるとの予測もある。
11月の肥育もと牛価格はかなり下落
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年11月の肥育もと牛価格は、フィードロット導入頭数の減少などにより、前年同月比9.5%安の100ポンド当たり147.00米ドル(1キログラム当たり363円:1米ドル=112円)(速報値)とかなり大きく下落した(図2)。
USDAは今後の肥育もと牛価格について、2019年第1四半期(1〜3月)を同141〜147米ドル(348〜363円)、第2四半期(4〜6月)を同142〜152米ドル(351〜375円)と予測しており、第2四半期は前年同期を上回るとの見方が強い。
輸出はアジア向けが堅調
USDA/ERSによると、2018年10月の牛肉輸出量は、前年同月比4.6%増の12万3000トンとなった(表1)。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である日本向けは同10.8%増の3万2000トンとなった。韓国は、引き続き国内需要が堅調なことから、同17.1%増の2万4000トンと大幅に増加した。一方、中国・香港向けは、中国が米国産牛肉に追加関税を課していることなどから、同16.4%減の1万5000トンと大幅に減少した。また、国内生産が堅調なカナダ向けは、同6.8%減の1万1000トンとなった。
また、2018年10月の牛肉輸入量は、前年同月比4.8%減の10万6000トンとなった。最大の輸入元であるカナダは、同1.1%増の3万1000トンとなった。一方、豪州は同11.2%減の2万9000トン、ニュージーランドは同10.2%減の9000トンとなった。この要因についてUSDAは、オセアニアの食肉パッカーがより価格インセンティブのあるアジア市場への輸出を増やしていることを挙げている。
(調査情報部 渡辺 陽介)