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海外の需給動向【牛肉/豪州】  畜産の情報 2019年2月号

2018/19年度牛肉生産量・輸出量見通し、干ばつにより上方修正

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牛肉生産量、7カ月連続で前年同月比を上回る

 豪州統計局(ABS)によると、2018年10月の成牛と畜頭数は、クイーンズランド(QLD)州およびニューサウスウェールズ(NSW)州で発生している干ばつにより雌牛を中心に淘(とう)汰が増加していることから、68万8300頭(前年同月比16.1%増)と大幅に増加した。と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は34万1600頭(同4.3%増)と6カ月ぶりに前年同月を上回り、雌牛は34万6700頭(同30.6%増)と11カ月連続で前年同月を上回った。と畜頭数全体に占める雌牛の割合は、50.4%と7カ月連続で50%を上回った。
 1頭当たり枝肉重量は、比較的重量の軽い雌牛の増加に伴い285.7キログラム(同4.5%減)と減少し、と畜頭数の増加分を一定程度相殺したが、同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、19万6680トン(同10.9%増)と、7カ月連続で前年同月を上回った(図3)。
 

図3 牛肉生産量の推移
 

2018/19年度牛肉生産量、前回から上方修正

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2018年12月10日、「Agricultural Commodities」の中で、2018/19年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しを発表した。同見通しは、四半期に一度公表される。
 これによると、2018/19年度の牛と畜頭数は、干ばつによる雌牛を中心とした淘汰が継続しているとともに、今後の天候の見通しもあまりよくないことから、841万5000頭(前年度比6.3%増)と、前回予測時(2018年9月)からわずかに上方修正した(表2)。
 
 
表2 牛飼養頭数などの推移

 
 牛肉生産量は、雌牛のと畜割合の増加および干ばつによる早期出荷に伴い1頭当たり枝肉重量の低下が見込まれることから、231万7000トン(同3.5%増)とわずかな増加を見込んでいる。
 牛肉輸出量は、生産量の増加により117万5000トン(同4.6%増)と前回から上方修正された。輸出先国別に見ると、米国向けは、同国における牛肉生産量の増加により減少を見込んでいるものの、主な輸出先である日本、韓国および中国向けのいずれも増加を見込んでおり、中でも中国は旺盛な輸入牛肉需要が継続するため、大幅に増加するとしている。
 ABARESは、天候が回復した場合、多くの生産者が牛群拡大のために雌牛の保留を進めるものの、それまでの淘汰により繁殖雌牛の頭数が減少しているため、牛飼養頭数の回復には時間がかかるとしている。また、降雨の不足により小麦や大麦などの飼料用穀物生産量の減少が見込まれ、価格も大幅に上昇していることから、生産者が補助飼料として穀物を与えるのを控えることで、1頭当たり枝肉重量の低下につながることを懸念している。


12月の肉牛取引価格、牧草肥育業者の需要増により堅調に推移

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、干ばつにより1月以降おおむね下落傾向にあったが、10月にまとまった降雨があったことで、牧草肥育業者を中心に導入意欲が増加し、上昇に転じた(図4)。11月にもまとまった降雨があったこともあり、10月16日に1キログラム当たり500豪セント(400円:1豪ドル=80円)を上回って以降、安定的に推移し、12月13日の同価格は同527豪セント(422円)となった。
 しかし、QLD州およびNSW州の降雨はいまだ牧草の生育が改善するほどの十分なものではなく、豪州気象局による2019年2月までの天候見通しによると、降雨はあまり期待できないとされている。

 
図4 EYCI価格の推移
 
(調査情報部 大塚 健太郎)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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