生産量は増加局面へ
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2018年の牛肉生産量は、キャトルサイクルが増加局面に入ったことなどから、前年比3.7%増の990万トン(枝肉重量ベース)と2年連続で前年を上回ると見込まれる(図5)。
輸出はアジア向けがけん引
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2018年の冷蔵・冷凍牛肉輸出量は、前年比12.2%増の135万3665トン(製品重量ベース)となった(表3)。昨年から引き続き同10%超の伸びを見せており、生産量同様、右肩上がりで推移している。
今年の輸出増を支えたのは、アジア地域の旺盛な需要である。特に中国向けは、2015年6月の輸出再開以降順調に増加しており、2018年の輸出量は前年比52.6%増と、同28.2%増を記録した前年に続いて大幅に増加した。また、第2位の輸出先である香港向けも、同12.1%増と前年を大きく上回った。一方、主要輸出先国であったロシア向けは、ブラジルから同国向けの輸出牛肉から、ロシア側が、ロシア向け輸入牛肉への使用を禁止している成長促進剤のラクトパミンが検出されたとして、2017年12月から2018年10月まで輸出停止となっていたことから、大幅に減少した。
(参考)ロシア向け牛・豚肉の輸出停止に伴う現地の反応
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002090.html
(参考)ロシアがブラジルからの牛肉および豚肉の輸入を再開
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002325.html
2019年は生産、輸出とも増加の見込み
USDA/FASが9月4日に公表した「GAIN Report」によると、2019年の牛肉生産量は、引き続き中国や香港を始めとした各国からの需要増や、昨年以降安定している国内需要の後押しを受け、前年比3.0%増の1020万トン(枝肉重量換算)と見込まれている。一方、ここ最近のレアル安の現状を受け、輸出には追い風となるものの、ワクチンなど生産関連資材の輸入品の価格が高騰することが懸念されている。
2019年の牛肉輸出量については、ブラジル牛肉輸出業協会(ABIEC)が過去最高となる約180万トンと予測している。特に、中国向けについては今後も増加が見込まれており、ABIECによると、現在15施設が対中国輸出施設として認定されているが、2019年のうちに新たに10施設程度が追加されると見込まれている。
(調査情報部 佐藤 宏樹)