引き続き、冷凍鶏肉と冷凍加塩鶏肉の輸出が好調
2018年1〜11月の鶏肉調製品、冷凍鶏肉、冷凍加塩鶏肉の輸出量はいずれも増加した(表6)。
鶏肉調製品は、前年同期比で5.2%増の51万4000トンであった。冷凍鶏肉は、同36.8%増の24万5000トンとなり、日本向けも引き続き好調である。冷凍加塩鶏肉は、2017年3月のブラジル食肉不正問題
(注1)やその後ブラジル産鶏肉等からサルモネラ菌が検出されたことでEU向け輸出施設の認定が取り消され
(注2)、代替需要がタイ産に向かったため、同47.8%増の9万2000トンと大幅に増加した。
(注1) 本誌2018年1月号「ブラジルの鶏肉生産・輸出動向」P103を参照されたい。
(注2) 海外情報「EUがブラジルの食鳥処理工場20カ所からの輸入を禁止へ」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002208
中国は、2018年3月にタイからの鶏肉の輸入を解禁した。中国の輸入量を部位別にみると、もみじと手羽なかで大半を占めている(表7)。
鶏肉を中国に輸出しているインテグレーターの話によると、中国からはもみじと手羽なかの引きが強く、今後輸出量が伸びていくと考えているとのころである。
実際に、どの部位に優位性があるのかを把握するため、輸出単価と国内小売価格をくらべた(表8)。本来、輸出価格は卸売価格と比較すべきだが、卸売価格の部位別データがないため、小売価格で代用した。
もみじは、1キログラム当たり、タラートタイ市場
(注3)で55〜65バーツ、クロントイ市場で80バーツであり、卸売価格がこれらより安いことは間違いないため、明らかに輸出価格の方が高い(海外情報「タイブロイラー輸出産業の競争力と今後の展望」 表8)。
手羽なかは輸出価格と国内小売価格の差はあまりないと考えられるが、輸出量が順調に伸びていることから考えると、今回調査した市場での価格が一般的なものでなかった可能性も否定できない。
内臓肉は、関税分類上、詳細な分類がなされていないため、部位が分からないが、7月、8月の単価100バーツ程度であれば、利益が得られると考えられる。
骨付き肉は、7月、8月の70バーツ程度であれば、国内価格よりも高いが、輸出実績が少ないため、試験的な取引や特殊な用途の可能性がある。
(注3) タラートタイ市場とクロントイ市場については、本号海外情報「タイブロイラー輸出産業の競争力と今後の展望(6 国内の小売風景)」 を参照されたい。
(調査情報部 三原 亙)