(1)バター
平成29年度の推定出回り量7万1000トン(機構調べ
(注))について流通経路および業種別、用途別消費量の推計を行った結果、次の通りとなった。
注:機構調べは、今回の調査結果に基づき推定したものを指す。
ア 流通経路
推定出回り量のうち、国産品(①乳業メーカーの自社製造と在庫取り崩しの合計)は6万1700トン(出回り量に対する構成比86.9%)、輸入品(②乳業メーカーの取り崩し等と③機構の輸入放出の合計)は9300トン(同13.1%)となった(図1)。
乳業メーカーの利用(社内消費)は6600トン(同9.3%)、乳業メーカーからの社外販売は5万9100トン(同83.2%)、機構から一次卸への売渡しは5300トン(同7.5%)となった。
乳業メーカーなどから需要者に供給される流通経路では、一次卸を通じた販売は5万5700トン(同78.5%)と大きなシェアを占めている。バターは、さまざまな加工食品や外食などの原材料としても使用されることから、需要者は多岐にわたっている。そのため、大口だけでなく小口需要者にも対応するため、流通における卸売業者の役割は他の原料乳製品と比べて重要となっている。
イ 業種別消費量
業種別消費量についてみると、業務用は4万7000トン(推定消費量に対する構成比66.2%)と最も多く、家庭用は1万7400トン(同24.5%)、乳業メーカー(社内消費)は6600トン(同9.3%)となった。業務用の内訳では、菓子メーカーが2万2500トン(同31.7%)で最も多い(図1)。国産品と輸入品の業種別消費量の内訳を見ると、国産品は菓子メーカー向けが全体の33.4%と最も多く、次いで小売業向け家庭用が27.7%となった。一方、輸入品は乳業メーカー(社内消費)が全体の24.7%と最も多く、次いで加工油脂メーカーが23.7%、菓子メーカーが20.4%となった(表1)。
このように、国産品は菓子メーカー向けや家庭用が主体となる一方で、輸入品は乳業メーカー(社内消費)が約1/4を消費し、大半は、業務用に仕向けられているという結果となった。国産品の供給が減少傾向にある中で、国産需要が底堅いことから、乳業メーカーは近年の傾向同様に社内消費の一部を輸入品や他の乳製品で代替し、自社製品(国産品)を需要者に優先的に供給したことがうかがえる。
ウ 用途別消費量
バターの用途別消費割合をみると、品質志向で国産品を重視する菓子・デザート類向けが2万1700トン(構成比30.6%)と最も多く、次いで、家庭用が1万7400トン(同24.5%)、外食・ホテル業が8200トン(同11.5%)となった。(図2)。
バターの用途別仕向けを平成28年度と比較すると、菓子・デザート類は前年度並み(前年度比0.9%減)となったが、家庭用および外食・ホテル業はわずかに増加(いずれも同1.2%増)となった(表2)。
(2)脱脂粉乳
29年度の出回り量14万300トン(機構調べ)について、流通経路および業種別、用途別消費量の推計を行った結果、次の通りとなった。
ア 流通経路
推定出回り量のうち、国産品(①乳業メーカーの自社製造と在庫取り崩しの合計)は12万100トン(推定出回り量に対する構成比85.6%)、輸入品(②乳業メーカーの取り崩し等と③機構の輸入放出の合計)は2万200トン(同14.4%)となった(図3)。
また、乳業メーカーの利用(社内消費)は4万6600トン(同33.2%)、乳業メーカーからの社外販売は8万7300トン(同62.2%)、機構から一次卸への売渡しは6,400トン(同4.6%)となった。
脱脂粉乳は、一般的に二次加工製品向けの原材料であることから家庭用の消費量は非常に少なく、はっ酵乳や乳飲料などを生産する乳業メーカー(社内消費)の割合が高いことが特徴である。また、卸売業者を経由せずに需要者に直接販売される割合が全体の14.7%で、バター(直販割合6.1%)と比べて高い水準にある。これは、大口の需要者が特定の業種(はっ酵乳など)に集中しているからである。
イ 業種別消費量
脱脂粉乳の業種別消費量をみると、業務用が9万2300トン(消費量に対する構成比65.8%)と最も多く、大手乳業の社内消費が4万6600トン(同33.2%)、家庭用が1400トン(同1.0%)とわずかであった。業務用の内訳では、乳業・アイスクリームメーカーおよびはっ酵乳・乳酸菌飲料メーカーがいずれも3万1400トン(同22.4%)と最も多く、これら二つで全体の半分近い割合を占めている(表3)。
また、国産品は各業種で幅広く使用されている一方、輸入品は乳業メーカー(社内消費)が過半を消費する結果となった。脱脂粉乳は、バターに比べると乳業メーカーにおける社内消費の割合が高いが、国産品の供給が減少傾向にある中、前年同様、乳業メーカーが社内消費の一部を輸入品や調製粉乳などで代替し、需要者には自社製品を優先的に供給していることがうかがえる。
ウ 用途別消費量
脱脂粉乳の用途別消費量をみると、はっ酵乳・乳酸菌飲料が6万9500トン(構成比49.5%)と最も多く、次いで、乳飲料が2万3100トン(同16.5%)、アイスクリーム類が1万4000トン(同10.0%)となった。バターと異なり、脱脂粉乳は消費量全体の8割弱がこれら上位3者で消費され、特に年度を通じて需要が好調であったはっ酵乳・乳酸菌飲料は全体の約50%と最も多い状況となった(図4)。
業務用脱脂粉乳の用途別消費量を28年度と比較すると、消費量が最も多いはっ酵乳・乳酸菌は6万9500トン(前年度比2.4%増)で、次いで乳飲料が2万3100トン(同0.9%減)、アイスクリーム類が1万4000トン(同1.4%減)となった(表4)。はっ酵乳・乳酸菌飲料は定番のプレーンヨーグルトに加え、いわゆる機能性ヨーグルトの消費が引き続き堅調となっている。
また、アイスクリーム類は夏場前半の猛暑および8月以降の冷夏により消費が伸び悩んだが、冬季の販売が普及するなど、通年では前年並みと安定して推移している。