豚 肉
平成30年12月の豚肉需給を見ると、生産量は7万9338トン(前年同月比0.3%減)と前年同月並みとなった。輸入量は、冷蔵品、冷凍品ともに前年同月を下回り、7万3146トン(同12.0%減)と前年同月をかなり大きく下回った。推定出回り量は、前年同月をやや下回る15万5468トン(同3.7%減)となり、推定期末在庫は前月から3056トン取り崩し、16万361トン(同6.1%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
30年のチルド比率、4年連続上昇
平成30年(1〜12月)の豚肉輸入量は、92万4149トン(前年比0.8%減)とわずかに減少した。
このうち、主にテーブルミート向けの冷蔵品は、競合する国産豚肉の相場安などで増加率は小さかったものの、家計消費などの好調な需要を背景に、40万6484トン(同2.0%増)と8年連続で増加し、過去最高を更新した(図3)。国別に見ると、冷蔵品輸入量のほとんどを米国産、カナダ産の2カ国が占めている。米国産は前年からわずかに減少したものの、21万142トン(同1.4%減)と3年連続で20万トンを上回り、冷蔵品に占める割合は52%(同1ポイント減)となった。また、カナダ産は引き続き増加傾向で推移し、18万4724トン(同6.1%増)と前年をかなりの程度上回り、冷蔵品に占める割合は45%(同1ポイント高)となった。
なお、チルド比率(豚肉輸入量のうち冷蔵品が占める割合)を見ると、全体では44%(同1ポイント高)と4年連続の上昇となった。国別では、米国産が前年並みの80%、カナダ産が84%(同3ポイント高)、メキシコ産が前年並みの13%となった。なお、過去10年間のチルド比率は、緩やかながら、米国産とカナダ産の上昇、メキシコ産の低下が見られた。
30年の冷凍品輸入量、スペイン産がトップ
主に加工業務用に仕向けられる冷凍品は、近年、冷蔵品の対日輸出を伸ばしている米国産とカナダ産が減少する一方、安い人件費を強みに一次加工など細かなニーズに対応できるスペイン産やメキシコ産が増加しており、全体ではおおむね横ばいで推移している。平成30年は同様の傾向が続いた一方、EU域内への子豚輸出が増えているデンマーク産の減少に加え、同年4月にアフリカ豚コレラが発生したハンガリー産の輸入停止などにより、51万7646トン(前年比2.8%減)と前年をわずかに下回った(図4)。
国別に見ると、スペイン産が11万1645トン(同3.9%増)と増加した一方、デンマーク産が10万7525トン(同6.3%減)と減少した。この結果、スペインが最大の対日輸出国であったデンマークを抜き、トップとなった。
30年の豚肉輸出量(くず肉除く)、前年比6.3%増
平成30年の豚肉輸出量および輸出金額(くず肉除く)は、数量・金額ともに約4分の3を占める香港向けが増加したことから、輸出量は661トン(前年比6.3%増)、輸出金額は7億9025万円(同9.1%増)といずれもかなりの程度増加した。なお、31年の輸出目標は12億円(1000トン相当)となっている(図5)。
また、豚くず肉(豚足など)の輸出動向を見ると、近年はマカオ、香港向けが大半を占めている。22年は、同年4月に宮崎県で発生した口蹄疫を受け、一部輸出先国への輸出が停止したことから、大幅に減少したが、その後順次輸出が再開され、近年は回復傾向となっている。なお、30年の豚くず肉輸出量は、マカオ向けなどが減少し、1543トン(同9.2%減)となった。
(畜産需給部 河村 侑紀)